国葬ルール化、政府うやむや 年内幕引き狙う

東京, 12月23日, /AJMEDIA/

 政府が発表した安倍晋三元首相の国葬に関する「検証」結果は、有識者から聴取した意見を整理するにとどまり、焦点となったルールの在り方などには一切言及しなかった。一定の方向性を打ち出せば再び国論を二分しかねず、今後の対応を「うやむや」にしたまま年内で幕引きを図る狙いも透ける。
 「国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか引き続き検討したい」。松野博一官房長官は22日の記者会見で、今後の対応についてこう語るのみで具体的な日程は示さなかった。相次ぐ質問に対し、松野氏の「引き続き検討する」との発言は4回に及んだ。
 岸田文雄首相はこれまで、国葬への強い反発を踏まえ「安倍元首相の国葬の検証を行う。幅広い有識者から意見を伺い、論点と意見を整理する。一定のルールを設けることを目指す」などと語っていた。しかし、今後のスケジュールは何も決まっていない。
 政府の姿勢が慎重に映るのは、方向性を定めにくい事情もありそうだ。有識者の意見も分かれているからだ。
 聴取結果によると、国葬を実施する場合、国会が関与する必要性を訴える声が相次ぐ一方、内閣の裁量で決定できるとの主張もあった。
 国葬とする基準についても、「対象になる人物の範囲を決める必要がある」「時々の政府が判断するのは当然」などと見解が分かれた。与野党の意見も異なるとみられ、政府が早期にルール化に乗り出せば、来春の統一地方選を前に新たな火種を抱え込むことになりかねない。
 政府高官は「今後すぐに国葬を行うかどうか判断が必要になる場面は考えにくい」と語り、結論の先送りを示唆した。自民党の国対幹部は「これで一件落着。世論の関心も薄れている」と指摘。国葬問題は風化していくとの見方を示した。
 立憲民主党の泉健太代表は記者団に「政権の身勝手で国民の税金が十数億円使われた。国会とも協議してルールを作るべきだ」と強調した。一方、来月召集の通常国会で追及テーマの一つに据えるかについては「国会や各党の様子を見ながらになる」と述べるにとどめた。

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