参院東京は全党参戦の大激戦

東京, 5月02日, /AJMEDIA/

 7月10日投開票が想定される参院選での注目の的は、東京選挙区(定数6)だ。自民党が2人目の公認候補として、元「おニャン子クラブ」メンバーの生稲晃子氏の擁立を決め、他の国政政党もそれぞれ独自に公認・推薦候補を擁立し、議席獲得を狙うからだ。今回改選となる6年前の同区当選者は、自民党と民進党(当時)が各2、公明党1、共産党1で、おおさか維新の会(同)が僅差の次点だった。今回も自民、立憲民主が2人擁立、公明、共産、日本維新の会、「国民民主・ファースト」、れいわ新選組、社民、「NHK受信料を支払わない国民を守る党」と、すべての国政政党が各1人を擁立、10人超の候補が生き残りを懸けたし烈な戦いを展開する見通しだ。
 6年前の結果を見ると、現立民の蓮舫氏が112万余の得票で断然トップ。2位が自民・中川雅治氏(約88万票)、3位が公明・竹谷とし子氏(約77万票)、4位が共産・山添拓氏(約66万票)、5位が自民・朝日健太郎氏(約64万票)、6位が現立民・小川敏夫氏(約50万票)だった。
 この当選者のうち、今回は蓮舫(54)、竹谷(52)、山添(37)、朝日(46)の4氏が改選となる一方、中川(75)、小川(74)両氏が高齢などを理由に引退する。そこで自民は生稲氏(53)、立民は元衆院議員の松尾明弘氏(47)を2人目の公認候補として擁立した。これに対し、維新は大阪市議の海老沢由紀氏(48)を公認、国民民主は地域政党・都民ファーストを母体とする「ファースト」と組み、小池百合子東京都知事の最側近で都民ファ代表の荒木千陽都議(40)を推薦。れいわは依田花蓮氏(50)を、N党は猪野恵司氏(38)を擁立し、社民も公認候補擁立を検討する。(4月中旬現在)
◇「当確」3人、当落線上にひしめく6人
 そこで注目されるのが現状での選挙情勢だ。全国で唯一の6人区だが、関係者は「当選圏内は自民1人と蓮舫、竹谷両氏の3人。残り3議席を自民のもう1人、立民・松尾、維新・海老沢、共産・山添、『国民・ファ』の荒木、れいわ・依田の6氏が争う構図」(選挙アナリスト)とみる。前回、前々回の参院選や昨秋の衆院選結果を踏まえた「基礎票」は、自民150万~180万票、立民130万票前後、公明70万~80万票、共産65万票前後、維新50万~80万票、れいわ30万票前後とされる。このため自民2、立民、公明、維新、共産各1という割り振りが常識的だが、自民は「どちらかに票が偏る可能性大」(同)とされ、初参戦の荒木氏は小池知事が全面支援すれば「当選圏に急浮上する可能性」(同)がある。有権者数が約1000万人に上る東京選挙区は「人気と知名度か、強固な組織票が上位当選の決め手」(同)だ。その点で蓮舫、竹谷両氏と、知名度の高い生稲氏の3人が「上位の可能性が大きい」(同)とみる向きが多く、山添氏ら5人は党を挙げての支援で当選圏入りを狙うとみられる。
 一方で蓮舫、竹谷、生稲、海老沢、荒木、依田各氏らによる「女性の闘い」も注目される。生稲氏は1980年代の人気女性アイドルグループの元メンバーで俳優、海老沢氏は元プロスノーボーダー、依田氏は元ミュージカル俳優で行政書士という多彩な経歴の顔触れ。いずれにしても首都決戦の勝敗のカギは「いかに無党派層の支持を得られるか」(都選管)だけに、誰が当選するかは「投票箱のふたを開けるまで分からない大激戦」(同)となりそうだ。
 今回の首都決戦には、他に幸福実現党新人の及川幸久氏(61)、諸派新人で元衆院議員の安藤裕氏(57)ら多数が立候補を予定している。【政治ジャーナリスト・泉 宏/「地方行政」4月25日号より】
〔編集部注〕「NHK受信料を支払わない国民を守る党」は4月25日、党名を「NHK党」に変更したと発表しました。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts