東京, 7月21日, /AJMEDIA/
【北京、ワシントン時事】バイデン米政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使は19日、4日間の訪中を終えた。米中は途絶えていた気候変動に関する協議を継続し、今後数週間で集中的に議論することで一致した。だが、具体的な取り組みで新たな合意には至らず、台湾問題やハイテク分野の輸出規制で対立が続く双方が、緊張緩和に向かうかは不透明だ。
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「新たな地平を切り開くには、もう少し努力が要る」。ケリー氏は19日の記者会見で、訪中をこう振り返った。11~12月の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に向けた協力を確認したものの、温室効果ガスの削減目標では距離があることをうかがわせた。
ケリー氏は滞在中、李強首相や外交トップの王毅共産党政治局員、韓正副主席、気候変動問題担当の解振華特使と相次いで会談。電力部門の脱石炭や再生可能エネルギーの導入、メタン削減などについて「幅広く、率直」に議論し、中国側は「グローバルな課題で新たな貢献をしたい」(韓正氏)と連携に意欲を示した。
ただ、中国国営中央テレビは、習近平国家主席が2060年までに実質ゼロを目指すとしている中国の温室効果ガスの削減計画を巡り、「誰かの影響は絶対に受けない」と述べたと報道。50年までの削減目標を掲げる日米など主要国と一線を画す姿勢を示した。
米国は、中国が直面する課題でもある気候変動問題を足掛かりに対話を重ね、今秋の米中首脳会談を視野に入れた環境整備を進める狙いだ。それでも両国の主張の隔たりは小さくなく、関係安定化につながるか予断を許さない。