半導体装置の輸出管理強化 米の対中強硬路線と歩調―経産省

東京, 4月1日, /AJMEDIA/

経済産業省は31日、先端半導体製造装置の輸出管理を厳格化する方針を決めた。中国による先端半導体の軍事転用を阻止するため、米国が導入した強硬な対中輸出規制に足並みをそろえる。ハイテク技術を巡る米中の覇権争いが激化する中、半導体産業のデカップリング(分断)が一段と進む。
半導体「包囲網」に危機感 日本の輸出規制で―中国

 外為法の関係省令を改正し、半導体の製造工程で生じる不純物を取り除く装置や半導体基板に薄膜を形成する装置など23品目の輸出管理を強化する。7月の施行を予定している。
 日本が強みを持つ半導体製造装置の主な海外市場は、中国や米国、韓国、台湾。西村康稔経産相は31日の記者会見で「特定の国を念頭にしていない」と説明したが、中国向けの輸出のみ経産相による個別許可が毎回必要になる。
 スーパーコンピューターや人工知能(AI)などに使われる先端半導体は、「極超音速ミサイル」など最新鋭兵器の開発にも欠かせない。軍事技術と民生用技術を一体で強化する中国の「軍民融合」政策に対抗し、米国は昨年10月、先端半導体と半導体製造装置の輸出規制を導入。回路線幅14~16ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の半導体製造に用いる装置は許可制にした。
 半導体製造装置は日本の東京エレクトロン、米アプライドマテリアルズ、オランダのASMLが高いシェアを誇る。米国は日本やオランダから先端技術が中国に流れるのを懸念し、米対中規制への追随を求めていた。日本総合研究所の野木森稔主任研究員は「中国は先端品の製造装置をほぼ海外に依存しており、大きな打撃だ」と指摘する。
 一方、日本の管理強化の影響は、東京エレクトロンのほか、ニコンやSCREENホールディングスなど国内約10社に及ぶ。日本半導体製造装置協会によると、2021年度の日本製装置輸出のうち中国向けは最大の約3割(9924億円)を占める。業界関係者は「米国の対中規制以降、中国国内での先端品への投資が減っている」と、影響の広がりを懸念している。

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