初舞台、20歳に気後れなし 飯村「先輩越え」なるか―フェンシング・パリの灯は近く

東京, 6月14日 /AJMEDIA/

 2008年北京五輪は太田雄貴さんが個人で、12年ロンドン五輪は団体で銀メダルを獲得。フェンシングの男子フルーレは、日本の「お家芸」とも言われるまでになった。その伝統を受け継ぐ若き剣士が、本場フランスで新たな歴史を刻もうと意気込んでいる。20歳の飯村一輝(慶大)は「五輪の金メダルは小さい頃からの夢。自分に金メダリストの素質があるのか、パリで問いにいきたい」。初の大舞台を前に、気後れはない。

 太田さんを長く指導した父・栄彦さんの下、小学1年生で剣を握った。地元京都の龍谷大平安高を卒業するまで、父と二人三脚で腕を磨いた。慶大進学後の22年、18歳で世界ジュニア選手権を制すると、約2週間後に行われたシニアのワールドカップ(W杯)で3位。一気に日本チームの主力へと飛躍した。

 身長169センチの小柄な身体で海外勢と渡り合う。支えとなっているのが、戦いながら考える力だ。持ち味のスピードを生かした単調な攻撃だけでは世界に通用しないと学び、フェイントや緩急を駆使する駆け引きを磨いてきた。

 「最初からトップスピードではなくて、どこでスピードを生かすか」。昨年から取り組むメンタルトレーニングの成果もあり、ピスト上では冷静沈着。相手の動きを見極めてポイントを重ねる。日本代表のエルワン・ルペシュー・コーチは「すごく成熟している。彼の年であそこまで、できるのはすごい」と高く評価する。

 「太田さんは銀メダルで止まっている。そこを塗り替えたい」。男子フルーレの団体世界ランキングで日本は1位。幼い頃から身近にいて「近所のお兄さんのようで、憧れの選手」という偉大な「先輩超え」は、実現可能な目標だ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts