保守強硬派主導か 候補者が正式決定―最高指導者の後継見通せず・イラン大統領選

東京, 6月11日 /AJMEDIA/

イラン大統領選の候補者が正式に決まった。保守強硬派から欧米との対立路線を継承するガリバフ国会議長らが出馬を認められ、28日の投票に向けて選挙戦の主導権を握るとみられる。ただ、絶大な権力を握る最高指導者ハメネイ師の後継者となり得る候補者は見当たらず、「ハメネイ後」を見据えた争いは不透明感を増しそうだ。

 イラン大統領選では、最高指導者の影響力が強い「護憲評議会」が事前に候補者の資格を審査し、その決定はハメネイ師の意向を色濃く反映するとされる。同師にとってはイスラム革命体制の安定が最優先で、自身に忠実な保守強硬派が優位となるのは否めない。

 保守強硬派ではガリバフ氏や、かつて欧米との核交渉で厳しい姿勢を貫いたジャリリ元最高安全保障委員会事務局長らが候補に名を連ねた。他に認められたガジザデハシェミ副大統領、ザカニ・テヘラン市長は、前回2021年の大統領選にも出馬。今後、強硬派内で候補者の一本化が進められるかも焦点となる。

 ラリジャニ前国会議長やジャハンギリ前第1副大統領ら保守穏健派の実力者は失格となり、改革派では唯一、ペゼシュキアン元保健相の出馬が認められた。前回選挙と同様、穏健・改革派の一部の出馬を容認することで、選挙の公正さを疑問視する有権者の不満をかわしたい思惑もあるようだ。だが、改革派が勝利する可能性は低いとみられ、指導部が信任を測る指標として重視する投票率は再び低迷しかねない。

 5月のヘリコプター墜落で死亡したライシ大統領は、高齢のハメネイ師の有力な後継候補と見られていた。突然の死去で、次期最高指導者を巡る権力闘争が激化するとの観測が出ている。

 イラン憲法は最高指導者の要件に「学識、正義、信仰心」を求め、明確な規定はないものの「大アヤトラ」「アヤトラ」などイスラム教シーア派高位の法学者が適任とされる。今回資格を認められた保守強硬派の候補者に高位の法学者は不在で、ハメネイ師に不測の事態が起きた場合、十分な行政経験を持たない強硬派の人物が最高指導者に就く可能性もある。

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