低所得国の債務減免、急務 返済猶予の期限迫る

東京, 10月17日, /AJMEDIA/

【ワシントン時事】新型コロナウイルス感染拡大による打撃で、低所得国の対外債務が膨張している。債務減免などの根本的な対処が求められるが、近年増加した中国の融資など不透明な債務が速やかな減免交渉を阻んでいる。20カ国・地域(G20)が昨年4月に合意した債務返済猶予措置が今年末で期限を迎える中、低所得国の債務問題への対応は急務だ。

 世界銀行が11日公表した統計によると、低所得国約70カ国の対外債務残高は2020年、前年比12%増の8600億ドル(約98兆円)となった。世銀のマルパス総裁は記者会見で「低所得国の半数以上が対外債務に苦しんでいる」と懸念を表明。「債務削減など包括的な対応が必要だ」と訴えた。

 G20や世銀、国際通貨基金(IMF)は返済猶予措置終了後、パリクラブ(主要債権国会議)と協調した「共通枠組み」の下で、民間債権者も巻き込み、低所得国の債務減免を進める意向だ。

 減免交渉では、債務の透明性がカギを握る。しかし、とりわけ中国の国有企業などが絡む対中債務は、実態が把握しきれない場合が多い。

 昨年11月、デフォルト(債務不履行)に陥ったアフリカ南部ザンビアの対中債務に関し、米ジョンズ・ホプキンス大は調査報告書で「今年8月時点で66億ドルと、政府発表の2倍に達する」と指摘した。ロイター通信などによると、報告書の発表後にザンビア政府は対中債務が60億ドル以上に及ぶと認めた。

 共通枠組みの下で債務減免を目指しているのは、ザンビアとチャド、エチオピアのアフリカ3カ国にとどまる。世銀のマルパス氏は「年末の返済猶予終了という『崖』を避けるため、共通枠組みの実施をできる限り効果的にする方策を探っている」と、危機感をあらわにした。

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