伊藤に仲間の後押し フライングヒル参戦へ―ジャンプ女子

東京, 3月18日, /AJMEDIA/

【ビケルスン(ノルウェー)時事】ノルディックスキーのジャンプで「ローエア」と呼ばれるノルウェーでの連戦シリーズは、シーズンの見せ場の一つ。厳しい日程や高額賞金などが特徴だ。ノルウェーのビケルスンでの最終戦で19日、女子初のフライングヒル(HS240メートル)が行われる。
 近年は「女子のレベルは耐えうる」として、導入の議論が繰り返されていた。伊藤有希(土屋ホーム)や高梨沙羅(クラレ)は、男子がフライングヒルで「空を飛ぶ」のを憧れの目で見てきた。
 シリーズ第8戦までの合計得点上位15人が参戦できる。伊藤は7戦を終えて総合6位だったが、15日の第8戦でスタートが遅れる違反により失格。総合20位に後退して、一度は道が断たれた。
 ここで、ジャンプ界が動く。各国コーチが伊藤のフライングヒル参戦を国際スキー・スノーボード連盟(FIS)に求めたという。選手ホテルで署名が集められ、SNSでは「Let Yuki Fly(有希を飛ばせて)」とのハッシュタグで世界中のファンや関係者、男子も含めた選手たちが賛同した。女子のワールドカップ草創期から参戦し、ダイナミックなジャンプを見せてきた伊藤に対する敬意だった。
 ある海外メディアは「美しい話だが、ルールを変えることはそう簡単ではない」と伝えた。15位のオーストリア選手が辞退し、この1枠が焦点だった。16日夜、FISが伊藤の参戦を発表した。
 伊藤は自身のインスタグラムで、「自分以外の方々に夢をかなえていただくなんて想像したこともありませんでした。ありったけの感謝の気持ちとともに飛ばせていただきます」と記した。他の文面からは、丸山希(北野建設)や勢藤優花(ヤマチューン)を含む16位から19位までの4人が、伊藤のために参戦を辞退したことが読み取れた。
 仲間のジャンパーやファン、関係者の後押しを受け、伊藤が世界最大級のフライングヒルに挑む。

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