仏暴動被害、1500億円超 大統領「最悪期過ぎた」

東京, 7月06日, /AJMEDIA/

【パリ時事】パリ郊外での警官による北アフリカ系少年(17)射殺事件に端を発したフランスの暴動は、国内に強い衝撃を与えただけでなく、大きな経済的損失をもたらした。全容把握には時間がかかるが、被害額は10億ユーロ(約1570億円)をくだらないという見方が出ている。
暴動地区で男性死亡 抗議再燃を警戒―仏

 事件への抗議は、移民が多く住むパリ郊外や南部マルセイユで拡大。10代の若者らは一部が暴徒化し、自治体庁舎、警察署、商店街などを狙って破壊行為を繰り返した。
 地元メディアによると、事件発生から4日までに計約5900の車両と1100の建物が放火・破壊された。200以上のショッピングセンターや大型小売店が略奪に遭い、300の銀行支店と250のたばこ店が損壊したという。
 日本の経団連に当たる「フランス企業運動(MEDEF)」のルードベジュー会長は、パリジャン紙のインタビューで、企業の被害額が「10億ユーロ以上だ」と予想した。
 フランスでは2005年にも類似の事件がきっかけで暴動が全国に波及した。ただ今回は、当時をはるかに上回るスピードで被害が広がった点が異なる。遠隔地の若者同士がSNSでつながりながら暴力行為の模倣や拡散を繰り広げたため、警察の取り締まりが追いつかなかったと指摘される。
 それでも先週末に一時1300人を超えた一晩の逮捕者は、3日夜から4日未明にかけて72人にまで減少した。マクロン大統領は4日、暴動の「ピークは過ぎた」という認識を示し、復旧に向けた支援に力を入れていくとアピールした。
 今春、マクロン政権の年金改革に反対するデモやストで混乱に見舞われたばかりのフランス。観光大国でもあり、夏休みシーズンの行方が懸念されるが、ルメール経済・財務相は4日の米CNNテレビで、暴動は「フランスの成長にも、魅力にも、観光にも悪影響を与えない」と言い切った。

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