中国で盛り上がる「赤い旅行」 共産党称賛、過度な愛国心に懸念も

東京, 6月2日 /AJMEDIA/

 中国で共産党関係の史跡を巡る「赤い旅行」が人気を博している。大国意識の高まりを背景に、国を指導する党への関心が強まっているためとみられ、関連市場も活況。その一方で「過度な愛国心につながっている」(欧米のメディア関係者)と懸念する声も出ている。

 1920年代後半に建国の父・毛沢東が革命に向けて拠点を築いた江西省井岡山。当時の写真などを展示し、党の歴史を振り返る「井岡山革命博物館」を訪れていた40代女性は記者の取材に対し、「党と毛主席の偉大さに感銘を受けた。子どもを連れて再訪したい」と話した。

 中国では「愛国主義教育」が始まった90年代前半ごろから、共産党の業績を称賛する施設の開設が相次いだ。中国メディアによると、2019年の施設数は約300カ所と、10年前と比べて3倍に急増。以前は職場の研修などで訪れるケースが多かったが、近年は若者を中心に個人客が増えているという。米国との対立激化も愛国心をあおり、訪問者数を押し上げているとみられる。

 井岡山の街中では、毛沢東のバッジなどを販売する店舗が目立った。党のシンボルを描いた帽子をかぶった20代女性は「クールでしょう。ここに来たら必ず買わないと」と語った。

 赤い旅行の経済効果は1兆元(約22兆円)に達するとの分析もある。専門家の間では、米中関係が悪化する中、愛国心に支えられた「赤い経済」は今後も成長が続くとの見方が有力だ。

 ただ、中立性への疑念は根強い。米CNNテレビはかつて、史跡の展示内容について「国外の多くの研究者が否定する主張」をアピールしている事例があると指摘。一方、革命博物館で出会った40代男性は「中国には中国の立場がある」と語気を強めた。

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