中国、アジア経済圏拡大へ着々 出遅れる米、危機感も

東京, 11月14日, /AJMEDIA/

12日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)では、中国の習近平国家主席が環太平洋連携協定(TPP)への加入に意欲を見せ、経済圏の拡大に向けた準備を着々と進めた。一方、中国排除に動くバイデン米大統領は新たな経済連携の枠組みを模索するが、TPP離脱により求心力は欠けたままだ。アジアの経済統合は混迷を深めている。
 APEC域内にはTPPのほか、2022年1月1日に発効予定のアジア15カ国による「地域的な包括的経済連携(RCEP)」などの大型自由貿易協定が複数存在するが、いずれも「米国抜き」の枠組みだ。中国は、その空白を突く形でTPP加入を申請し、既に参加済みのRCEPの交渉でも影響力を発揮した。
 「対外開放こそアジア太平洋地域協力の生命線だ。デカップリング(切り離し)ではなく融合しなければならない」。習主席はAPEC首脳会議で中国企業の締め出しを図る米国を暗に批判し、TPP加入に向け市場開放に努めると強調した。
 中国はTPP加入を申請した9月以降、TPP参加国への積極外交を展開。国境を越えた電子商取引の「デジタル貿易」で先手を打ち、ニュージーランドとシンガポール、チリが署名した「デジタル経済連携協定(DEPA)」への加入も申請、自国に有利に働くルール作りを狙う。
 一方、バイデン大統領は「インド太平洋地域の新たな経済の枠組み」の構築を検討すると表明した。半導体サプライチェーン(供給網)やデジタル貿易などで多国間連携を探る考えだが、その青写真はまだ見えず、出遅れ感は否めない。
 台湾情勢や人権問題をめぐる米中の対立はAPECにも影を落としており、23年に米国が議長国を務めることにロシアが不支持を表明したと一部で報じられた。サキ米大統領報道官は、米国が域内貿易の主導権を握る上での「難局」と表現し、アジア通商戦略で中国が先行することへの危機感をにじませた。

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