不法移民「抜け道」閉鎖 米カナダ、協定見直し

東京, 3月26日, /AJMEDIA/

【ニューヨーク時事】中南米から米国を経由してカナダに渡る不法移民が急増し、米カナダ両政府は24日、「抜け道」を封じる対策強化に乗り出した。
◇不法入国4万人
 米ニューヨーク州とカナダ東部ケベック州の国境をまたぐ狭い道「ロクサム街道」。両国が2002年に結んだ協定の「抜け道」として、17年ごろから不法移民が押し寄せるようになった。
 協定では、亡命希望者に対し、最初に入国した国での亡命申請を義務付けている。メキシコから米国を経てカナダに移動した場合、米国での申請が必要で、カナダから米国に送り返される仕組みだ。
 ただ、この協定は正規の越境地点でのみ有効で、ロクサム街道のような非正規の場所は対象外。昨年約4万人がカナダに不法入国し、大半が同街道を通ったという。街道を越えると一度拘束されるが、その場で亡命申請が可能で、その後保護を受けることもできる。
 ◇南部の危機が北上
 米国では、民主党のバイデン政権発足後、移民受け入れ拡大への期待から、メキシコから南部テキサス州などへの不法入国者が増加した。これに不満を募らせた共和党のテキサス州知事らが、民主党支持者の多いニューヨークや首都ワシントンなどに移民をバスなどで「移送」し始めた。
 移民保護に積極的なニューヨーク市には昨春以降、5万人以上が殺到する「前例のない人道危機」(アダムズ市長)状態となり、市行政を圧迫。市は希望者にバス代を支給して移住を支援。一部がロクサム街道に向かい、カナダの不法入国者増加の一因となっていた。
 ◇人権団体は懸念
 不法移民の多くを受け入れるケベック州のルゴー州首相は今年2月、州の負担が過剰になっているとして、ロクサム街道の閉鎖を求めてトルドー首相に書簡を送った。野党からも圧力が強まり、トルドー氏は対応を迫られていた。
 こうした事態を受け、米加両政府は24日、協定を全ての国境に適用するよう見直した。駆け込みが発生しないよう発表翌日の25日に適用となった。
 見直しにより、ロクサム街道を含む国境のどの地点でも、不法移民を相互に送り返すことが可能となった。米国の負担軽減のため、カナダは中南米から1万5000人を合法的に受け入れることで合意した。
 人権団体は「ロクサム街道の閉鎖は、難民申請者の権利に対する冒涜(ぼうとく)だ」と非難。より危険な道を通ったり、密入国業者に頼らざるを得なくなったりするとして、懸念を表明した。

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