東京, 10月29日, /AJMEDIA/
岐阜県中津川市瀬戸のリニア中央新幹線の瀬戸トンネル工事現場で男性作業員2人が死傷した事故で、JR東海は28日、現場では発破後に崩落が2回発生していたと明らかにした。亡くなった男性作業員は、残火薬の有無を目視で点検する際、掘削面の上部の一部が崩れる「肌落ち」に巻き込まれたとみられる。JR東海は原因究明のため、瀬戸トンネルに加え、山岳トンネル工事を実施している13工区の掘削工事を一時中断する。
中津川市と名古屋市で開いた記者会見で明らかにした。JR東海によると、27日夜にこの日最後の発破を終え、作業員5人で点検作業をしていたところ肌落ちが発生。作業員(44)=福井県美浜町=の足が岩石で埋まった。近くにいた男性作業員(52)=愛知県長久手市=が救出しようとした際、肌落ちがあった付近で2回目の崩落があったという。作業員(44)は約1立方メートルの岩石の下敷きになって死亡した。男性は左足骨折などの重傷を負った。
現場の地質は花崗(かこう)岩類で、やや風化が進んでいた。現場は、非常口トンネル(斜坑)約600メートルのうち約70メートルを掘り進んだ場所で、幅、高さともに約7メートル。地盤は入り口と比べ徐々に安定しつつあったという。
県警は28日、業務上過失致死傷の疑いを視野に実況見分を行った。関係機関も調査に入り、原因究明に当たっている。
瀬戸トンネル新設工事は奥村組と浅沼組、TSUCHIYAの共同企業体(JV)が請け負い、全長約4・4キロの本線トンネルの掘削に向け、6月から斜坑の掘削に着手していた。