東京, 7月02日, /AJMEDIA/
【サンパウロ時事】ブラジル高等選挙裁判所は6月30日、ボルソナロ前大統領の被選挙権を8年間停止する判決を言い渡した。再選を目指して出馬した昨年10月の大統領選に絡んで権力乱用があったと認定された。2026年の次回選挙で返り咲きを目指すボルソナロ氏は上訴する構えだが、今後刑事責任を追及される可能性もあり、道は厳しい。
裁判では、同氏が昨年7月、大統領公邸に外国大使らを呼んだ会合が焦点となった。電子投票システムに欠陥があり、「結果は信用できない」と明確な根拠を示さずに主張。SNSを通じ発言を拡散したなどとして責任が問われた。
判決では裁判官7人のうち5人が、一連の行為を権力乱用などと認定。「疑義を広めて陰謀論をあおった」と断じた。ボルソナロ氏側が「表現の自由」を理由に擁護した発言についても「誤情報を流す権利は含まれない」との判断が示された。
ブラジルでは、大統領選で敗北した結果を認めないボルソナロ氏の支持者らが今年1月、政府の中枢機関を襲撃した。裁判の中では、発言によって選挙への不信感が高まった結果、襲撃につながったという意見も出された。
ルラ政権側は判決を歓迎。ディノ法務・治安相はツイッターに「公的な役目を果たすのに、うそは正しい手段ではない」と投稿した。
一方、ボルソナロ氏は不当判決と受け止めており、徹底抗戦の構えだ。所属する自由党(右派)では求心力を維持し、大統領再登板への期待が高い。同氏はこの日のインタビューで「右派の選択肢の一人」と意欲を示した。
ただ、当局は、ボルソナロ氏が襲撃事件でSNSを通じて支持者らをあおったとして捜査中。サウジアラビア国王から贈られた宝飾品を私物化した疑惑や、米国に渡航するため新型コロナウイルスのワクチン接種の記録を改ざんした疑惑も捜査対象になっている。立件されて有罪となれば、禁錮刑などに処せられる可能性がある。