ハマスの人質 解放に向けた仲介の動き 活発化

東京, 11月10日, /AJMEDIA/

パレスチナのガザ地区でイスラエル軍が地上侵攻を進める中、ロイター通信はアメリカとイスラエルの情報機関のトップが仲介努力を続けるカタールを訪問し、人質の解放などに向けた協議を行ったと伝えました。またイスラム組織ハマスは最高幹部が過去の軍事衝突でも仲介役を務めたエジプトを訪れて当局者と意見を交わしたと発表し、仲介をめぐる動きが活発化しています。

イスラエル軍は9日、ガザ地区最大の都市、ガザ市中心部にあるイスラム組織ハマスの主要な軍事拠点に地上部隊が展開し、戦闘員およそ50人を殺害したと発表しました。

この拠点はイスラエル軍が地下にハマスの幹部の本部があると主張するシファ病院の近くにあり、ハマスの内務省の建物や、情報部門の本部、武器庫や工場、それに市街戦の訓練施設が含まれているということです。

一方、およそ240人の人質について、ガザ地区でハマスとともにイスラエルと戦う武装組織、イスラム聖戦は条件が整えば70代の女性と10代の少年の2人を解放すると発表し、2人が映った動画を公開しました。

これについてイスラエル軍は「心理的なテロだ」と非難しています。

このほかガザ地区以外のイスラエルの戦線ではハマスと連帯するイエメンの反政府勢力「フーシ派」がイスラエル南部の都市エイラートに向けて弾道ミサイルを発射したと発表しイスラエル軍はこれを迎撃したとしています。

エイラート市内の高校には無人機が突っ込んで爆発がおき、校舎に被害も出ています。

またヨルダン川西岸の町ジェニンでもイスラエル軍は対テロ作戦を行ったと明らかにし、パレスチナの保健当局は18人が死亡したと発表しました。

一方、人質の解放などに向けた仲介の動きも活発化しています。

ロイター通信は9日、アメリカのCIA=中央情報局とイスラエルの対外工作活動を担う情報機関モサドのトップが仲介努力を続けるカタールを訪問し、カタールの首相を交えた3者会談で人質の解放などに向けた協議を行ったと伝えました。

また、ハマスは、最高幹部のハニーヤ氏が9日、前任のマシャル氏らとともにエジプトを訪れ、エジプトの情報機関のトップと会談したと明らかにしました。

エジプトはイスラエルとハマスの過去の軍事衝突でも仲介役を務めてきた国で会談ではガザ地区での状況について意見を交わしたということです。

エジプトのメディアは、カタールのタミム首長が、10日にエジプトを訪れて、シシ大統領と意見を交わす見通しだとも伝えています。

ガザ地区 避難先過密状態 破壊された自宅に戻る人も
ガザ地区ではおよそ72万人が学校など国連の関係施設に身をよせていますが、避難先が過密状態になり、人道支援物資の提供も遅れる中、破壊された自宅に戻る人もいます。

ロイター通信は8日ガザ地区南部のハンユニスで撮影した映像を配信しました。

映像ではイスラエル軍の空爆で自宅が壊され、避難所に身をよせていた一家ががれきが散乱する自宅に戻り、洗濯物を干したり、タンクにためた水で顔や腕を洗ったりしています。

国連機関が運営する学校には受け入れ人数を大幅に上回る避難民が押し寄せていてトイレは160人に1か所、シャワーは700人に1か所しかないなど、深刻な状況です。

各地の避難所では下痢や呼吸器の症状を訴えるケースも相次いでいるということで衛生環境も悪化しています。

破壊された自宅に戻った一家の男性は「子どもたちが避難所の劣悪な環境で飢えや恐怖にさらされるよりもこの場所にいるほうがいいです。少なくとも自宅にいることができます」と話していました。

ヨルダン川西岸 少なくとも14人死亡 20人以上けが
ヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区のジェニンでは9日、イスラエル軍による攻撃がありパレスチナの保健当局は少なくとも14人が死亡し、20人以上がけがをしたと発表しました。

イスラエル軍の9日の発表によりますと、ジェニンで対テロ作戦を行ったとしています。

ロイター通信が9日にジェニンで撮影した映像には、街なかに銃撃音が響く中、人々が走って逃げている様子が映っています。

パレスチナの保健当局によりますと10月7日に始まった一連の衝突で、ヨルダン川西岸では、11月8日までに163人のパレスチナ人の死亡が確認されているということです。

武装組織「イスラム聖戦」男女2人の人質 動画をSNSで公開
ハマスとともにイスラエルと戦うパレスチナの武装組織「イスラム聖戦」は、9日、人質として拘束している男女2人の動画をSNSで公開しました。

およそ3分間の動画では、車椅子に乗った高齢の女性と13歳だとする男の子が、1人ずつ画面に向かって話す様子が記録されています。

このうち、女性は「愛する家族全員が恋しい。来週にはみんなの顔を見れると願っている」と話しています。

その上でイスラエルのネタニヤフ首相に対し「国内および世界の混乱の責任がある」として、人質の解放に向けてハマス側との交渉を進めるようイスラエル政府に強く要求しています。

また13歳だとする男の子は「早く家に帰れるよう政府に働きかけてくれている人に感謝する。なるべく早く帰れることを願っている。時間がたてばたつほど、危険が大きくなる」と話しています。

そしてイスラエルによる空爆で子どもが死亡していることや、人質のための水や薬なども不足しているなどとして、ネタニヤフ首相を批判しています。

映像は複数回にわたって編集されているのが確認できます。

2人はハマスの管理下にあり、発言した内容はハマスが用意したものか了承した内容である可能性もあります。

ハマス最高幹部 エジプト情報機関と会談 人質解放など進展に注目
イスラム組織ハマスは、最高幹部のハニーヤ氏が9日、ほかの幹部らとともにエジプトを訪れ、エジプトの情報機関のトップと会談したと明らかにしました。

会談ではガザ地区での状況について意見を交わしたということです。

また、エジプトのメディアは、カタールのタミム首長が、10日にエジプトを訪れて、ガザ地区をめぐる情勢についてシシ大統領と意見を交わす見通しだと伝えています。

ガザ情勢をめぐり仲介役を担うエジプトやカタールの動きが活発化しているとみられ、人質の解放などで進展があるのか注目されます。

フーシ派「イスラエル南部のエイラート攻撃」ビデオ声明
イスラム組織ハマスと連帯するイエメンの反政府勢力フーシ派は、9日、弾道ミサイルでイスラエルを攻撃したと発表しました。

フーシ派の報道官はビデオ声明で「複数の弾道ミサイルでイスラエル南部のエイラートにある軍事目標などを攻撃し、被害を与えた。ガザ地区で行われているイスラエル軍による攻撃がやまない限り、パレスチナ市民のために今後も攻撃を続ける」として、イスラエルを弾道ミサイルで攻撃したと明らかにしました。

フーシ派はこれまでもイスラエル南部に対して、繰り返し弾道ミサイルや無人機による攻撃を行っているほか、8日には、イエメン沖の紅海でアメリカ軍の無人偵察機「MQ9」を撃墜しています。

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