トルコとアルメニア、国交正常化へ初協議 溝深く先行き不透明

東京, 1月17日, /AJMEDIA/

 歴史的に対立してきたトルコと隣国のアルメニアが14日、ロシアの仲介を受け、モスクワで国交正常化に向けた初の協議を実施した。2020年秋にアルメニアとアゼルバイジャンが衝突したナゴルノカラバフ紛争以降、地域安定への機運が高まっていた。だが、第一次大戦中のアルメニア人迫害問題などを巡って両国の溝は深く、協議の行方は見通せない。

 「前向きで建設的な対話が実施できた」。トルコ、アルメニアの外務省は協議後の声明でこう強調した。両国の特使は約90分にわたって意見交換し、協議継続で合意したという。

 両国の対立の歴史は長い。アルメニアは1991年に旧ソ連から独立した後、トルコの友好国であるアゼルバイジャンの一部地域を占領。これを受け、トルコは93年にアルメニアとの国境を閉鎖した。両国は09年、スイスの仲介で国交正常化に向けた文書に署名したが、アゼルバイジャンがこれに反対し、文書は両国議会で批准されなかった。

 転機は20年のナゴルノカラバフ紛争だ。アゼルバイジャンはアルメニアが占領していたナゴルノカラバフ南部など多くの地域を奪還した。紛争後、アルメニアのパシニャン政権は求心力が低下し、経済的にも打撃を受けたため、打開策としてトルコとの関係改善を検討。一方、通貨リラの暴落など経済混乱が続き、支持率が低下しているトルコのエルドアン大統領も、国交正常化でトルコ企業に新たな市場を提供し、地域への影響力を拡大することを狙う。

 会談に先立ち、アルメニアは今月1日にトルコ製品の輸入禁止を解除。両国を結ぶチャーター便も近く就航する予定だ。だが、関係改善への道のりは容易ではない。オスマン・トルコ帝国による第一次大戦中のアルメニア人迫害を巡り、アルメニアは「最大150万人が虐殺された」と主張するが、トルコは「虐殺ではない」との見解を崩しておらず、両国内でも関係改善に反対する意見は根強い。アルメニア地域研究センターのリチャード・ジラゴシアン理事は「今回の協議は、両国の和解に向けた最初の一歩に過ぎない」と指摘している。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts