東京, 10月23日, /AJMEDIA/
【ニューデリー時事】アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが実権を掌握してから2カ月が経過した。タリバンが治安を維持できなければアフガンが再びテロの温床になりかねないことから、国際社会は人道支援を進めつつ、タリバンへの歩み寄りを図ってきた。しかしタリバンは、人権抑圧の改善といった各国の求めに対し、態度を軟化させる様子は見せていない。
タリバン暫定政権のムッタキ外相代行は21日、カブールを訪問したパキスタンのクレシ外相と会談した。タリバンのムジャヒド報道官は、会談で「パキスタンが50億ルピー(約33億円)規模の人道支援を約束した」と明らかにした。
パキスタンにとって、隣国アフガンで過激派組織「イスラム国」(IS)系武装勢力をはじめとするテロ組織が活発化すれば、自国への脅威にもなりかねない。国外資産の凍結などに伴い、財政難に苦しむタリバン政権下のアフガンへの支援は、人道目的だけでなく自国の安全保障にも直結する。
中国やイラン、ロシア、中央アジア諸国も同様に自国への過激派流入を警戒し、タリバンと外交的接触を図ってきた。米国の代表団も今月9、10両日、ムッタキ氏らと会談。人道支援について協議するとともに、アフガン国土をテロ組織に利用させない方針を確認した。
欧米諸国などには、支援と引き換えに、タリバンに女性や少数派の権利保障、包括的政権の実現といった条件をのませる意図があるとみられている。ただ、アフガンの治安維持を担うタリバンは強気な態度を崩さない。米国代表団との会談後、アフガン外務省は声明で「人道支援と政治とを結び付けるべきではない」とけん制した。