東京, 11月02日, /AJMEDIA/
運転手不足に悩む都内のタクシー会社では、未経験の人も積極的に採用しています。働きやすい職場環境を整備し人材の確保につなげたいとしています。
東京 杉並区にあるタクシー会社では、コロナ禍前にはおよそ160人の運転手が働いていましたが、感染拡大による収入の減少などを理由に、2割にあたる30人ほどが退職しました。
新型コロナの5類への移行などでタクシーの利用は増加し、9月の売り上げは去年の同じ時期よりおよそ15%増えています。
その一方で運転手の数はコロナ禍前より15人ほど少ないままで、64台のタクシーのうち10台ほどは稼働できず会社の駐車場に止められたままとなっています。
この会社では、運転手不足の解消に向けた取り組みを進めています。
▽希望に応じて出勤日を選べる仕組みを導入したり、
▽新人ドライバーを対象に最初の半年間は売り上げが少なくても月30万円の給料を保証するなどしていて、未経験者でも働きやすい職場環境をアピールしているということです。
さらに若い世代の応募を増やそうと週1回のペースで若手のドライバーの勤務の様子などを撮影した動画を投稿し、運転手の仕事や待遇などを紹介しています。
会社によりますと、こうした取り組みの結果、入社を希望する人からの問い合わせは徐々に増えているということです。
動画を見て面接に訪れたという40代の男性は、「会社の動画やホームページなどを見ていると、出勤日を選べると出ていたので家族との時間も大切にしながら働けると思い、応募しました」と話していました。
「葵交通」の田中秀和社長は「二種免許を持っていない未経験者も積極的に採用しています。自社で一人前に育て上げていて、できるだけ長く働き続けてもらいたいです」と話しています。
タクシー会社 ライドシェアの解禁には懸念の声
タクシー会社からは、ライドシェアの解禁について運行の安全を確保できない可能性があるとして懸念の声が相次いでいます。
会社では未経験の人を採用したときは二種免許の取得や運転技能の向上のため8か月の研修期間を設けています。
また勤務を始める時のアルコールチェックなどの管理を徹底しているほか、安全意識を高めるためにドライブレコーダーの映像をもとに交通違反などの事例を共有する講習会なども開いていて、時間とコストをかけて運行の安全確保に努めてきました。
一方で一般のドライバーが客を乗せて運ぶ「ライドシェア」では、運行の安全が確保できない可能性があるとしています。
田中社長は「私たちは会社としてしっかり管理して安全を確保している中で、それを個人に任せて本当に大丈夫なのかと心配しています。まずはタクシー運転手をどう確保していけばよいのかに知恵を絞っていくべきだと思います」と話しています。