東京, 1月3日, /AJMEDIA/
東京都は、革新技術の研究開発で急成長を目指すスタートアップ(新興企業)の支援強化に乗り出した。スタートアップや大学など関係団体を集積する一大拠点を整備するほか、こうした企業が都の公共調達に参加しやすい仕組みを導入する。欧米諸国などから後れを取ってきた起業段階からの支援を拡充し、世界と競い合える企業を増やす狙いだ。
「平成以降、日本の国際競争力が下がり続けてきた。イノベーションで社会課題を解決し、東京からゲームチェンジを起こそう」。小池百合子知事は2022年11月、スタートアップ支援に関する新戦略の発表会でこう強調。「ユニコーン」と呼ばれる企業価値10億ドル以上の未上場企業について、今後5年間で10倍に増やし、東京から世界に輩出する目標などを掲げた。
戦略の柱は、スタートアップの一大拠点の整備。24年度に開業予定で、約1000社が入居できる施設を想定している。起業して間もないスタートアップは資金力や営業力に乏しいため、拠点には企業や大学だけでなく、資金供給を担う国内外のベンチャーキャピタル、経営のノウハウを持つ組織などを集め、企業同士が支え合うコミュニティーをつくる。
実際に都の支援を受けて事業を軌道に乗せた例もある。人や荷物を持ち上げる作業を補助する「マッスルスーツ」を開発した東京理科大発の「イノフィス」(東京都新宿区)は、都と連携して介護施設で実証実験を実施。「職員の腰の負担が最大45%減った」といった成果が得られ、21年度には、都立高校の介護福祉科などへのスーツの納入が実現した。「都と組んだことで製品への信頼感が高まり、販路開拓につながった」(同社幹部)という。
こうした事例を受け、新戦略には、大企業に偏りがちな都の入札参加条件を見直し、スタートアップも参加しやすくなる制度の構築なども盛り込んだ。都の担当者は「都内にはスタートアップが集中している上に、病院や公園、水道など、さまざまな公共調達のフィールドがある。こうした強みを生かしたい」と話している。