東京, 10月06日, /AJMEDIA/
岸田文雄首相は8日、国会で就任後初めてとなる所信表明演説を行い、新内閣の基本方針を示す。最優先課題とする新型コロナウイルス対策は「常に最悪を想定した危機管理」を原則とし、医療体制確保などの「全体像」を早急に示す考えを強調。経済対策では「新しい資本主義」実現を掲げ、競争・成長偏重ではなく所得再分配などの格差是正に軸足を移すと表明する見通しだ。
首相は5日、演説に関し、首相官邸で記者団に「新しい政権の考え方をしっかりお示ししなければいけない」と語った。
首相は野党が求める予算委員会には応じず、11~13日の各党代表質問が終われば、今国会閉幕日の14日に衆院を解散。19日公示―31日投開票の衆院選に臨む。短期間の準備で「岸田カラー」を打ち出せるかが焦点だ。
内政面ではコロナ対応と「新しい資本主義」が柱。コロナ禍で打撃を受けた世帯や事業者への支援を盛り込んだ経済対策を早急に策定すると訴える。病床確保、ワクチン接種推進、検査充実に取り組む方針を示す。
新しい資本主義は、安倍政権が推進した「アベノミクス」の修正を図るものだ。首相は4日の就任会見で「成長と分配の好循環と、コロナ後の新しい社会の開拓がコンセプトだ」と説明した。看護師、保育士らの給与引き上げを通じて民間の賃上げにつなげる。
経済安全保障にも重点を置く。ワクチンや先端半導体などの「強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)形成」を訴える。戦略技術・物資の確保、技術流出の防止に向けた国家戦略を策定し、経済安全保障推進法の制定も表明する考えだ。
外交面では、日米同盟を基軸とし、「自由で開かれたインド太平洋」推進を掲げる。中国とは対話を続けつつ、「主張すべきは主張して責任ある行動を強く求める」ことを基本方針とする。
北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題の包括的解決や、北方領土問題を解決して日ロ平和条約を締結することなど、前政権が残した課題に取り組む決意を示す。