東京, 2月27日, /AJMEDIA/
衆院憲法審査会が24日まで3週連続で開催され、緊急時のオンライン国会審議に憲法改正が必要かどうかが、各党間の論点に浮上している。同日の参考人質疑では、憲法学者2人の意見も割れた。自民党は夏の参院選後を見据え、本格的な改憲論議の環境整備を目指すが、立憲民主党などにはなお慎重論が根強い。
憲法56条第1項は、衆参両院本会議の定足数を「総議員の3分の1以上の出席」と定める。オンラインでの「出席」をめぐり、自民党は改憲が望ましいと主張。公明党と立民、日本維新の会、国民民主党は、各党が合意すれば解釈で認められると訴える。
参考人質疑で、高橋和之東大名誉教授は「『出席』の意味は明確で、解釈変更は原則許されない。立憲主義を崩す『アリの穴』となることを危惧する」と指摘。「緊急事態の問題として56条の議論を詰めるのが筋だ」と述べ、オンライン出席には改憲が必要との立場を強調した。
一方、只野雅人一橋大学大学院教授は「やむを得ない事情」など一定の条件下で「議場外からの参加も許容し得る」との認識を示した。理由として、国会内のルールを国会議員が自ら決定する「議院自律権」や、情報通信技術の発達、社会意識の変化を挙げた。
これを受け、自民党の新藤義孝元総務相は高橋氏に、緊急時の対応を憲法に明記すべきか尋ねた。新型コロナウイルス禍を踏まえ、改憲の必要性を有識者の意見で裏打ちする狙いがあったとみられる。だが、高橋氏は「正直、悩んでいる」と慎重な発言にとどめ、改憲の是非に踏み込まなかった。
公明と立民、維新、国民の4党は、オンライン出席を「例外的措置」としつつ、改めて速やかな導入を求めた。共産党は「審査会で個々の条文の解釈を確定していくやり方は非常に問題だ」と議論自体を批判した。
参考人質疑の終了後、新藤氏は記者団に、立民と合意できれば次回の審査会でオンライン出席に関する「総括的な質疑」を行い、細田博之衆院議長らに内容を報告する考えを明かした。さらに、9条への自衛隊明記など党改憲4項目に触れ、「(オンライン出席と)同様の論点整理ができるのではないか」と改憲論議の進展に期待感を示した。
これに対し、立民の奥野総一郎国対委員長代理は「これで簡単にまとまるのか。共産党を含めみんなが納得する形がベストだ」と記者団に訴え、自民党の動きをけん制した。