東京, 10月11日, /AJMEDIA/
【カイロ時事】イラクで10日、国会(定数329)選挙の投票が行われた。3年前の総選挙で第1党となったイスラム教シーア派指導者サドル師率いる政党連合が勢力を維持できるかが焦点。選挙後の連立交渉次第では、イラクで影響力を強める隣国イランとの関係や、年末までに予定されるイラク駐留米軍の戦闘任務終了の行方に影響を与える可能性がある。
イラクでは2019年、フセイン政権崩壊後では最大規模の反政府デモが激化し、人権団体の推計で600人近くが死亡。混乱に伴いアブドルマハディ首相が辞任し、後を継いだカディミ現首相は市民の不満解消を図るため、当初22年に予定されていた選挙の前倒しを決めた。ただ、「イラク国民は政治参加を通じた変化への期待に欠けている」(米議会調査局)とされ、投票率の低迷が予想される。
優勢とみられるサドル師は「占領と汚職から国を救う必要がある」と主張し、一時表明した選挙棄権を撤回。イラク国内のシーア派民兵を通じて存在感を高めるイランなど外国の干渉に反対する立場だ。連立交渉の末に多数を占めた会派から推される首相候補選びで、主導権を確保したい考えとみられる。
一方、アミリ元運輸相率いる「征服連合」など親イラン勢力が議席を増やし、連立交渉で有利な立場を占めれば、米国との安全保障協力や対イラン関係を含む外交政策全般の見直し機運が高まる可能性もある。米軍全面撤退を求めるイランが働き掛けを強めることも予想されるためだ。
イラクでは17年に過激派組織「イスラム国」(IS)駆逐を宣言した。しかし今年に入りISが犯行を主張するテロが相次いでおり、選挙妨害を狙ったISの活動も懸念されている。