東京, 12月06日, /AJMEDIA/
パレスチナのガザ地区で北部に続いて南部でも地上侵攻を進めるイスラエル軍は5日、南部の中心都市ハンユニスへの空爆を強め、地上部隊を市の周辺に展開しています。ハンユニス市内には多くの住民が残っていて市街地で戦闘が本格化すれば犠牲者がさらに増えるのは避けられない情勢です。
イスラエル軍は、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスへの軍事作戦を続け、5日にかけて特に南部の中心都市ハンユニスへの空爆を強めるとともに地上部隊を市の周辺に展開しています。
AP通信が配信した今月3日に撮影された衛星画像では、ハンユニスの中心部から北に6キロほどの地点にイスラエル軍が4か所で陣地を築き、およそ150台の軍用車両が集結している様子がうかがえます。
ハンユニス市内にいる中東の衛星テレビ局アルジャジーラの記者は「市の東側で空爆が断続的に行われ、イスラエル軍の戦車が市の中心部に近づいているようだ」と伝えています。
アルジャジーラはハンユニス市内の病院で子どもたちが床に寝かされたまま点滴を受ける映像を放送し、イスラエル軍の攻撃で1時間でおよそ150人が病院に搬送されたと伝えています。
イスラエルの有力メディアハーレツは「イスラエル軍はハンユニスの地下トンネル施設にハマスのガザ地区の指導者、ヤヒヤ・シンワル氏をはじめ幹部が潜んでいる可能性があると見ている」とし、ハンユニスにはハマスの主力部隊が配置されているという見方を伝えています。
イスラエル軍は、民間人の犠牲を抑えるためとして上空からQRコード付きのビラをまき、さらに南のラファの方面に避難するよう通告していますが、NHKガザ事務所のカメラマンによりますと、すべての住民がビラを手にするわけではなく、現地では通信状況が悪いため、QRコードを読み取って詳しい内容を確認するのは容易ではありません。
こうした中、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関ガザ事務所のトーマス・ホワイト所長は4日、SNSにハンユニスよりさらに南のラファに避難民が押し寄せていると投稿し「人々は安全な場所を教えてほしいと懇願しているが、私たちは何も答えてあげられない」と厳しい状況を説明しています。
ガザ地区の保健当局によりますと、戦闘開始からこれまでの死者数はガザ地区で1万5899人にのぼっていますが、ハンユニス市街地で戦闘が本格化すれば犠牲者と行き場を失う人がさらに増えるのは避けられない情勢です。