アベノミクス修正、争点に 財政出動拡大、格差是正訴え―自民総裁選

東京, 9月11日, /AJMEDIA/

自民党総裁選では、安倍前政権から菅政権に引き継がれた経済政策アベノミクスの修正が争点の一つとなりそうだ。出馬表明した岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎規制改革担当相の3氏とも成長戦略を掲げる一方、高市氏はより積極的な財政出動を主張。岸田、河野両氏は賃上げや格差是正の必要性を訴えている。

 アベノミクスは、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」で構成される。河野氏は10日の出馬表明の記者会見で、引き続き規制改革による成長促進を目指す考えを強調した。岸田氏は格差是正に重点を置いた「令和版所得倍増」を柱とする経済政策を既に発表。具体策として子育て世帯への教育費や住宅費の支援などを掲げた。

 河野氏はアベノミクスについて「企業部門は利益を上げたが、賃金まで波及しなかった」と指摘。賃金底上げに向け、労働分配率が一定水準以上の企業に税制面の特例措置を講じる考えを示した。

 高市氏はアベノミクスを継承し、「日本経済強靱(きょうじん)化計画」を進めると表明。規制改革よりも大胆な成長投資を重視するほか、災害対策の公共事業などに10年間で100兆円を投じる方針だ。

 財政健全化について、高市氏は2%の物価安定目標を達成するまで、基礎的財政収支(PB)を黒字化する財政健全化目標は凍結する考え。河野氏はPB黒字化目標について「コロナ禍だからさまざまな議論をしていかなければならない」と見直しを示唆。一方、岸田氏は「国の信用の礎である財政再建の旗は降ろさない」と主張する。

 コロナ禍への追加経済対策をめぐり、岸田氏は「数十兆円規模の対策」を急ぐ考え。収入が減った個人事業主らを救済する持続化給付金の再支給などに言及した。高市氏は「一刻も早い補正予算編成、成立を目指す」と強調。河野氏は年22兆円の需給ギャップを埋めるため成長分野に投資すると表明した。

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