「首都直下地震」被害想定見直しへ ワーキンググループ初会合

東京, 12月21日, /AJMEDIA/

「首都直下地震」について、国は2013年に公表した被害想定を、その後の社会変化などを踏まえて見直すことになり、20日ワーキンググループの初めての会合が開かれました。来年中を目標に新たな被害想定をまとめる方針です。

首都直下地震について、国は、2013年に被害想定と対策を公表し、首都中枢機能への影響が大きいマグニチュード7.3の「都心南部直下」の地震が発生した場合、死者は最大で2万3000人にのぼるとしています。

その後、被害を減らす目標を盛り込んだ国の基本計画が策定され再来年で10年になることから、防災対策の進展やさまざまな社会変化、それに最新の研究結果も踏まえて見直すことになり、20日都内でワーキンググループの初めての会合が開かれました。

会合には、地震や防災の専門家など14人の委員が出席し、この10年でタワーマンションなど高層ビルが増えた一方で自治会がないところなどは備蓄が課題だといった意見や、生活物資の供給網=サプライチェーンが寸断されるリスクを考慮すべきだといった意見が出されました。

被害想定の見直しは、来年中を目標にとりまとめられる予定で、この想定をもとに国は、再来年の春までに新たな基本計画を策定する方針です。

首都の中枢機能に影響
「首都直下地震」は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に70%の確率で発生すると推計しているマグニチュード7クラスの大地震です。

専門家などで作る国の検討会は、2013年に最大クラスの地震による被害想定と、対策の方向性を公表しました。

首都の直下で起きる地震にはさまざまなタイプがありますが、陸のプレートの下に沈み込む「フィリピン海プレート」の内部を震源とするマグニチュード7.3の「都心南部直下」という、首都中枢機能への影響が特に大きい地震が被害想定のモデルになっています。

具体的な想定は
想定では
▽東京の江戸川区と江東区で震度7
▽東京、千葉、埼玉、神奈川の4つの都県で震度6強の
激しい揺れに襲われるとしています。

被害が最も大きくなると考えられているのが、風の強い「冬の夕方」に地震が発生するケースで、住宅や飲食店で火を使う機会が最も多く、全壊または焼失する建物は61万棟にのぼり、このうち41万2000棟が火災で焼失するとされています。

死者はおよそ2万3000人にのぼり、その7割にあたるおよそ1万6000人は火災が原因だとしています。

また
▽けが人は12万3000人
▽救助が必要な人は5万8000人
▽避難者は最大で720万人に達すると想定されています。

生活・経済への影響も甚大
上下水道や電気などのライフラインのほか、交通への影響も長期化が想定されます。

都心の一般道は激しい交通渋滞が数週間継続し、鉄道は1週間から1か月程度運行できない状態が続くおそれがあるほか、食料や水、ガソリンなどの燃料も不足した状態が続くとしています。

経済的な被害は、建物などの直接的な被害と、企業の生産活動やサービスの低下による間接的な被害を合わせて95兆円余りに達すると想定されています。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts