「育成就労」法案、参院審議入り 人権侵害継続に懸念も

東京, 5月25日 /AJMEDIA/

 技能実習に代わる外国人材受け入れ制度「育成就労」を創設する入管難民法などの改正案が24日、参院本会議で審議入りした。人手不足の分野で未熟練の人材を受け入れ、中長期の在留につなげる狙いがあり、岸田文雄首相は「外国人にとって魅力ある制度を構築し、選ばれる国になることが必要不可欠だ」と強調。ただ、立憲民主党などは人権侵害が生じる構造は変わらないと批判した。

 技能実習は、途上国に技術や知識を伝える「国際貢献」を目的としたが、安価な労働力の確保に利用されてきた実態がある。勤務先を変える「転籍」を原則として認めず、過酷な労働環境下で失踪する例も相次いだ。

 育成就労は、一定の条件を満たせば本人の意向で転籍を容認。首相は「より適切に労働者としての権利を保護する」と説明した。ただ、分野によって最長2年の転籍制限が可能なため、野党側は「最初の職場に張り付かざるを得ない人が大多数になる」と指摘する。

 外国人が来日時、母国の「送り出し機関」への手数料などで借金を抱えるケースも問題視されてきた。立民の石橋通宏氏は「諸費用を全て日本側が負担する制度に改革すべきだ」と迫ったが、小泉龍司法相は「手数料の上限基準を設け、負担軽減を図る」と答弁した。

 改正案には、納税などの公的義務を故意に怠った場合、永住許可の取り消しを可能にする規定も盛り込まれた。石橋氏は「差別・偏見を助長する。日本は選ばれない国になる」と撤回を主張。これに対し、首相は「(故意の不履行を)容認することは、義務を履行する大多数の永住者との間で不公平感を助長する」と必要性を訴えた。

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