「相談恥ずかしがらないで」 子ども自殺増、国や団体対策強化―10日から予防週間

東京, 9月10日, /AJMEDIA/

 子どもの自殺が近年増加していることを受け、国や支援団体が対策を強化している。10日から自殺予防週間が始まるのを前に、支援団体は相談体制を拡充し、「恥ずかしがらずに窓口を使ってほしい」と呼び掛けている。
小中高生の自殺512人 昨年、過去最多見通し―文科省

 厚生労働省などによると、小中高生の自殺者は増加傾向にあり、昨年は514人と統計が残る1980年以降で最多となった。事態を重視した政府は4月、こども家庭庁内に対策室を設置。6月には各学校で生徒児童に配布されているタブレット端末を活用して心身の状態や悩みを把握することなどを柱とした緊急強化プランをまとめた。こども家庭庁は警察や消防、学校が持つ統計を収集し、自殺の要因分析もする方針だ。
 自殺に関する子どもや若者の相談は多い。NPO法人「あなたのいばしょ」(東京都港区)が運営する24時間のチャットでの窓口には、2020年3月から今年8月までに約75万件の相談が寄せられたが、約7割は29歳以下だった。午後10時~午前5時ごろに集中する特徴があり、長期休み明けの子どもたちから「学校に行きたくない。死にたい」「漠然とした不安がある」などの相談が寄せられたという。
 このため、同法人は予防週間の期間中、相談員の人数を増やし、子どもを優先して対応する方針だ。大空幸星理事長は「子どもたちには相談することで少し心が軽くなると知ってほしい。窓口を使うのは恥ずかしいことではない」と強調した。
 子どもの自殺について、精神科医で国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存研究部長は「背景にある何らかの『生きづらさ』が解明されていない」とし、「実態を研究する仕組みづくりが必要だ」と話す。保護者らに対しては「子どもの言い分をしっかりと受け止めてほしい。ネガティブな話ができる関係を持つことも大切だ」と求めた。

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