東京, 7月11日, /AJMEDIA/
10日に九州北部を襲った記録的な大雨で、福岡県や佐賀県では土砂災害が発生し、家屋の倒壊などが相次いだ。「生きた心地がしない」。現場近くの住民らは声を震わせた。
九州北部で記録的大雨 2人死亡、1人心肺停止―福岡、大分に半日間、特別警報
福岡県久留米市田主丸町では10人が土石流に巻き込まれ、1人が死亡した。午後5時半ごろには、倒壊を免れた家屋に避難していた住民8人ほどが相次いで救助された。自力で歩いて出てきた人のほか、担架で運ばれる高齢者や、救助隊に抱きかかえられた子どもの姿もあった。いずれも大きなけがをしている様子はなかった。
近所の女性(75)は「住み始めて50年ほどだが、こんな大雨は初めて。生きた心地がしなかった」と振り返った。近くの避難所に身を寄せた80代の女性は「これまでの中で最悪だと思う。30年前に引っ越してきた時の台風と同じくらいひどい」とうんざりした様子で話した。
別の避難所にいた女性(32)は3歳の娘と自宅から車に乗ったところ、流れてきた木や土砂に車ごと巻き込まれた。「このままではつぶされる」とドアを開けて脱出し、はだしのまま無我夢中で近くの工場に避難したという。「子どももいるし、不安な気持ちです」と心境を打ち明けた。
佐賀県唐津市では住宅2棟に土砂が流入し、住民3人と連絡が取れなくなった。近くに住む70代の主婦は午前6時すぎ、倒木で2棟が押しつぶされていることに気付いた。数分前に見た際は何ともなかったといい、「あっという間に山の方から木が流れてきたようだ。とても怖い」と語った。
近所のパート女性(64)は土砂崩れが起こる直前、「ゴーッ」と地響きに似た音を聞いた。自宅の外を見ると、土砂が近くの家屋に流れ込んでいたといい、「現実とは思えず、怖くて震えが止まらない」と話した。