「決選」へ河野氏包囲網か 岸田・高市陣営歩み寄り―自民総裁選

東京, 9月28日, /AJMEDIA/

自民党総裁選は最終盤に入り、決選投票を見据えた駆け引きが激化した。河野太郎規制改革担当相(58)がリードしているとみて、岸田文雄前政調会長(64)を推す甘利明党税調会長と、高市早苗前総務相(60)を支援する安倍晋三前首相が「2位―3位連合」を視野に会談。「河野氏包囲網」とも取れる動きに対抗しようと、河野陣営に加わる二階派の一部が1回目の投票で高市氏に票を回す「奇策」も浮上している。

 「岸田さんはしっかりしてきた。たくましくなった」。安倍氏は27日、衆院議員会館で甘利氏と向き合い、こう伝えた。岸田陣営は、決選投票に進んだ場合の支援についても「好感触」(幹部)を得たという。甘利氏はこの後、所属する麻生派の会長、麻生太郎副総理兼財務相と面会した。安倍氏との会談内容を報告したとみられる。

 安倍氏は、保守的な政治信条が重なる高市氏を全力で押し上げてきた。自らの支持基盤である保守層へのアピールに加え、岸田氏が告示前、森友学園問題について「国民が納得するまで説明する」と発言したことへの反発もあったとされる。

 だが、高市氏が決選投票に残った場合、岸田氏率いる岸田派(46人)は高市氏のタカ派的な政策と相いれず、河野氏支援に流れるとの見方がある。安倍氏が岸田氏への態度を和らげたとすれば、「政敵」である石破茂元幹事長を取り込んだ河野氏の当選阻止に傾いている可能性もある。

 岸田氏は国会議員票で優位に立つが、「党員人気」では河野氏に遠く及ばない。このため、議員票の比重が大きい決選投票に進んで逆転する戦略だ。岸田氏支持が6割を占める旧竹下派の会長代行、茂木敏充外相は27日の同派会合で「決選投票はできる限りまとまりたい」との意向を示し、岸田陣営では結束しての支援に期待が高まる。

 高市氏も勝負を諦めてはいない。安倍氏の「しつこい」とまで言われる電話を使った多数派工作を背に議員票で岸田氏を猛追しており、党員票次第で2位に入る可能性も取り沙汰される。陣営は岸田氏を支持する議員の7割確保を目標に、決選投票で高市氏に投票するよう呼び掛けている。

 一方、河野陣営は議員票が伸び悩み、決選投票に不安が拭えない。こうした中、河野氏を支持する二階派議員が1回目に高市氏へ投票する動きがあると党幹部らが明かす。岸田氏をはじき出して、高市氏を相手にした方が勝算があると踏んでいるためだという。同派幹部は27日に党本部で対応を協議。28日には派閥会合を開く。

 ただ、同派会長の二階俊博幹事長は自身の対応も明言していないとされ、派閥の方針とは言えない。河野氏は26日のフジテレビ番組で、高市氏に票を回そうとしている動きを司会者が伝えると「ひどいフェイクニュースだ」といら立ちをあらわにした。周辺も「票を流す余裕はない。2位にすら入れなくなる」と否定した。

 野田聖子幹事長代行(61)は27日、記者団から決選投票への対応を問われ「一番目指して頑張るのみだ」と語った。

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