「子育てしたかった」 原告夫妻、勝訴も悔しさ 強制不妊訴訟・大阪高裁判決

東京, 2月23日, /AJMEDIA/

 「子育てしたかった思いは変わらない」。旧優生保護法の強制不妊をめぐる訴訟で、22日の大阪高裁判決は国の賠償責任を初めて認めた。原告の大阪府の夫妻は勝訴を歓迎する一方、手術が奪ったものの大きさに思いを寄せ、悔しさをにじませた。
 午後2時半の判決言い渡し。手話通訳やモニターの字幕に目を凝らしていた傍聴人らは、閉廷後に顔を見合わせながら手話で静かに喜びを分かち合った。
 夫妻はいずれも聴覚障害がある。70代の妻は一度は妊娠したが、出産直後に赤ちゃんを亡くした。その後、同意なく不妊手術を受けていたと判明し、怒りと悲しみを抱き続けてきた。
 判決後の記者会見で、妻は喜びを表しつつも、「夫婦で子どもを産み育てたかった思いは今も変わらない。知らぬ間に子を産めぬ体にされたのは悔しくてたまらない」と手話の最中、自身の胸を時折たたいた。「こういう差別は二度と起こらないように」と強く願った。
 80代の夫は「同じ立場に立って助けてください」と昨年末の意見陳述で太田裁判長に訴え掛けていた。判決を受け、大きな身ぶり手ぶりで「戦いは本当に長かった」と振り返るとともに、全国でも勝訴判決が続くことを期待した。一方、自身が高齢であることから、国側には「上告はしないでほしい」と迫った。
 辻川圭乃弁護士は「人権擁護の最後のとりでとして矜持(きょうじ)を持って書かれた判決だ。旧法の被害者にさらなる差別を与えるのを是としなかったことに大きな意義がある」と前を向いた。

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