「不正」「稼ぐ力」に厳しい視線 株主総会本格化、27日ピーク

東京, 6月11日 /AJMEDIA/

 上場企業の6月の定時株主総会が今週から本格的に始まる。自動車大手で認証不正問題が次々と発覚したことで、企業の法令順守姿勢を問う投資家の視線が一段と厳しくなるのは必至。「稼ぐ力」の向上を求める声も強まり、機関投資家などから株主提案を受けた企業数は過去最多を更新した。総会の開催が集中する27日に向け、株主と経営陣の間で活発な質疑が繰り広げられそうだ。

 東証によると、ピークの27日には、上場する3月期決算企業の29.5%に当たる668社が総会を開く予定。大和総研の集計では、7日までに株主提案を受けた企業は91社と、昨年の90社を上回り最多となった。東証が昨年3月、上場企業に「資本効率や株価を意識した経営」を要請したことも追い風に「物言う株主」が勢いを増している。

 認証不正問題に揺れるトヨタグループでは、11日に豊田自動織機、18日にはトヨタ自動車が総会を開く。トヨタでは2024年3月期の連結営業利益が日本企業で初めて5兆円を超えたが、車の大量生産に必要な「型式指定」を巡る不正行為が6月に入り本体でも発覚した。

 トヨタの総会を巡っては、認証不正発覚前に米議決権行使助言会社2社が豊田章男会長の取締役再任に反対するよう株主に推奨した。豊田氏の再任賛成率は、昨年の総会では約85%。認証不正の影響が注目を集めそうだ。

 株主提案では、香港系投資会社オアシス・マネジメントが北越コーポレーションに、国内投資会社ストラテジックキャピタルが衣料ブランド「ニューヨーカー」を展開するダイドーリミテッドに対し、それぞれ業績低迷の責任などを問い、経営陣の刷新を提案。いずれも会社側は反対を鮮明にし、鋭く対立している。

 ストラテジックは淀川製鋼所に対し、「解散価値」を意味する株価純資産倍率(PBR)の1倍割れを回避するための目標設定を提案した。

 大和総研の吉川英徳主任コンサルタントは「東証の要請は(資本市場に)浸透しており、会社側は業績や株価をどう上げていくかを株主に示す必要に一層迫られる」と話す。

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