「みんなと野球続ける」覚悟 中学時代の葛藤が原点―野球WBC・ダルビッシュ選手

東京, 3月11日, /AJMEDIA/

野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表で最年長となるダルビッシュ有選手(36)の原点は、大阪府羽曳野市に構える小さな練習場にある。
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 中学時代を指導したのが、全羽曳野ボーイズの山田朝生総監督(75)。逸材を初めて見たのは、小学6年生の時だという。175センチ以上の長身で、「肩が揺れず、姿勢のいい歩き方」。体の芯に強さを感じた。
 やんちゃな印象はなく、「シャイで負けず嫌い。練習にも貪欲だった」。本格的に投手を始めたのは、中学2年の終わり頃。当時監督の山田さんは幅の狭い平均台を練習場に持ち込んだ。
 不思議がる本人を台に上らせ、テニスラケットを使ったシャドー投球を課した。最初は何度も落下し、筋肉痛も頻発。「体がぶれなければ落ちない。股関節を強化し、バランス良く投げる方法を会得してほしかった」。監督の意図を理解し、練習場で黙々とメニューをこなす日々が続いた。
 思春期でもあり、精神的な葛藤を表に出したことがある。ある日、両親に反抗する姿を見せたため、山田さんは「あすから来るな」と一喝。すぐ帰宅させた。根は優しくまじめで、敗戦につながる失策を喫した仲間を笑顔と抱擁でいたわることも知っている。数日後。父とともに監督室にやってきた。「野球を続けたい。みんなと一緒に頑張りたい」。覚悟のこもった口調に、監督は目頭を熱くした。
 心身の確固たる礎を高校や日本のプロ野球で築き、今や米大リーグで活躍するまな弟子。何度も米国に招かれた恩師は、現地を訪れていない。10年以上を経て、今大会は日本の球場で登板。「あの子の癖やしぐさが懐かしい。てっぺんを目指して」。負けず嫌いのまな弟子が、世界の頂点を射止めることを願う。

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