「はやぶさ2」持ち帰ったサンプルの分析結果 出そろう JAXA

東京, 3月21日, /AJMEDIA/

3年前、日本の探査機「はやぶさ2」が小惑星から持ち帰ったサンプルについて、研究チームの主な分析結果が出そろったことを受けて会見し、JAXA=宇宙航空研究開発機構の担当者は「心の底から喜びたい」と語りました。

「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰ったサンプルの分析では、塩や有機物を含む「炭酸水」や生命の活動に関わりが深い「アミノ酸」が見つかるなど、これまでにおよそ300の研究論文が発表されています。

JAXAなどの研究チームは、一連の成果を振り返る会見を開き、プロジェクトの責任者を務めたJAXAの津田雄一さんは「やりたいことはすべてやったうえで予想以上の成果が収められた。心の底から喜びたいし、誇りたい」と語りました。
そして、今後の展望として、小惑星とは異なる小さな天体「すい星」のサンプルを持ち帰り、「リュウグウ」と比較して科学的な違いを探る計画を新たに検討していることを明らかにしました。

また、九州大学の研究チームは「リュウグウ」には、地球の生命が使わない有機物が存在することも判明したとして、「なぜ特定の有機物を使うようになったのか、生命の起源を考えるうえで埋めなければならないピースだ」と指摘しました。

今回の成果は、小惑星などの落下によって地球に水や生命をもたらしたとする仮説を補強するものとして注目され、現在もサンプルの一部はNASA=アメリカ航空宇宙局などでも分析が進められています。

このほか、サンプルを持ち帰った「はやぶさ2」は8年後、「1998KY26」という直径30メートルほどの小惑星を目指し、現在も飛行を続けているということです。
公表された分析結果について
3年前に「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星のサンプルは、国内ではJAXAなど主に8つの研究チームが分析を行いました。

地球の生命や水の起源に迫る成果としては、23種類の「アミノ酸」の検出が挙げられます。

この成果は、去年6月岡山大学などのチームが公表。

これらの「アミノ酸」には、神経伝達物質として知られるグルタミン酸やアスパラギン酸、コラーゲンに含まれるグリシン、それに、代謝に関係しているバリンといった、生命の活動に深い関わりを持つ「アミノ酸」も含まれていました。

また、去年8月には、海洋研究開発機構などのチームが熱などの影響を受けにくいとされる特定の鉱物に、水や有機物が含まれていたとする分析結果を公表。

去年9月には、鉱物の小さな穴の中から塩や有機物を含む「炭酸水」を検出したと東北大学などのチームが発表しました。

これらの成果は地球に小惑星などが落下し、水や有機物をもたらしたとする仮説を補強する成果として注目されています。

このほか、小惑星「リュウグウ」がどのようにつくられてきたかも分析で明らかになってきました。

「リュウグウ」は、現在の形で存在する以前は別の天体の一部で、地球などを含む太陽系が形成された46億年前には、太陽から遠く離れた場所に存在し、いまから500万年ほど前に太陽系の内側に移動したとされています。

「リュウグウ」のような小さな天体が、太陽系の内側に移動することで、地球に水や有機物をもたらした可能性があるとしています。

一方、「アミノ酸」には構成する元素が同一で構造が逆の「右手型」「左手型」の2種類が存在し、地球の生命が使うアミノ酸はほとんどが「左手型」です。

サンプルに含まれる「アミノ酸」のうち、「左手型」の割合が多ければ、生命の材料が宇宙からもたらされたとする仮説を大きく補強すると注目されましたが、先月、九州大学などの研究チームは、サンプルに含まれる2種類の「アミノ酸」の割合はほぼ同じだったとする分析結果を公表。

研究チームは「生命の材料が宇宙由来だと結論づけられなかった。先行研究の多くは宇宙由来を支持しているため、別の天体のサンプルを分析し、明らかにしたい」としています。

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