東京, 10月12日, /AJMEDIA/
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授与決定は、核兵器の脅威の高まりに対する強い危機感を示したものだ。だが、ロシアや北朝鮮が核使用を辞さない姿勢を示すなど、現実の国際情勢は理想と逆行するかのように進んでいる。
ノルウェー・ノーベル賞委員会は2009年、「核兵器なき世界」を唱えたオバマ米大統領(当時)、17年には核兵器禁止条約の制定に尽力した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にそれぞれ平和賞を授与。核の脅威をなくす動きを支える立場を示してきた。
しかし、ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は今年9月、核兵器の使用条件を示した「核ドクトリン」を改定すると表明。「非核保有国によるロシアへの侵略は、核保有国の参加や支援がある場合、両国の共同攻撃と見なす」と述べ、非核保有国であるウクライナも米国など核保有国の支援を受けている以上、核攻撃の対象となり得ると威嚇した。
既に6回の核実験を行った北朝鮮も、核によるどう喝を繰り返す。金正恩朝鮮労働党総書記は今年10月、「敵国」と位置付ける韓国が「もし韓米同盟を過信してわが国の主権を侵害する武力使用を企てれば、容赦なく核兵器を含む全ての攻撃力を使用する」と宣言した。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報告書によれば、米ロ英仏中にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9カ国の保有核弾頭の総数は、今年1月時点で推定1万2121発。総数は前年比で約400発減ったが、配備中の弾頭は60発以上増えた。
米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は1月、世界の終わりまでの猶予時間を象徴的に表す「終末時計」の針について、人類滅亡を示す午前0時まで「90秒」に設定した。昨年と同じだが、1947年の設定開始後では最短。「誤算による核戦争の危険性が高まっている」と警鐘を鳴らした。