防衛費5年総額43.1兆円案 毎年増、NATO基準導入―政府・自民

東京, 10月12日, /AJMEDIA/

 政府・自民党内で防衛費を2023年度から5年間で総額43.1兆円とする案が11日、浮上した。防衛力強化のため、岸田文雄首相は防衛費の「相当な増額」を表明している。防衛費の算定では、海上保安庁予算や各府省の安全保障関係費を幅広く組み入れる「北大西洋条約機構(NATO)基準」を採用する。自民党関係者が明らかにした。
 防衛費は22年度当初予算で5.4兆円。政府・自民党内で浮上した案では、NATO基準で算定して23年度に約6.5兆円へ引き上げ、その後毎年1兆円程度の上乗せを続ける。5年後の27年度には約10.8兆円まで増額し、5年総額43.1兆円とする。
 現在の中期防衛力整備計画(中期防)は19年度から5年間の防衛費総額を27兆4700億円程度と定めており、約1.6倍の規模となる。年末までに中期防を含む安全保障関連3文書を改定する中で金額を確定する。
 21年度の防衛費は、当初予算と補正予算を合わせて国内総生産(GDP)比1.09%。自民党はGDP比2%以上を念頭に、5年以内に防衛力を抜本的に強化するよう唱えている。自民党関係者によると、27年度に約10.8兆円を確保すればNATO基準の試算でGDP比2%以上を達成する見通しという。
 NATO基準の導入は、幅広い経費を算入するためGDP比2%達成のハードルを下げる狙いがあるとみられる。ただ、自民党国防族を中心に「防衛費の水増しだ」などと反発の声がある。防衛省は「予算を右から左に移し替えただけでは防衛力は強化されない」(幹部)として、防衛費本体の増額が必要との立場だ。

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