避難先の教会が空爆 緊迫のガザ地区 住民が語ったことは

東京, 10月26日, /AJMEDIA/

「私の人生の中で最も怖い体験でした。親族も亡くなりとても悲しい日でした」

10月19日(日本時間20日)、ガザ北部にあるギリシャ正教の“聖ポルフィリオス教会”が空爆されて、十数人が亡くなりました。

ガザ北部で今も避難生活を送るパレスチナの男性が、身の危険を感じながらも世界や日本の人に「現在のガザの状況を知ってほしい」と、匿名を条件に話を聞かせてくれました。

そのとき何が
男性はガザの状況が緊迫してまもなく家族や親族と一緒に、この教会に避難しました。男性によると19日の午後8時から午後9時ごろ、突然、教会が空爆を受け関連施設が破壊されたと言います。

「とても大きな衝撃音がして地震のようだった」

この教会に避難していたのは当時、およそ400人。避難していた人どうしで協力して夜通し、がれきに埋もれた人の救助活動を行ったと言います。

教会に避難していたのは、平和を願っている一般の市民でした。

男性が撮影した写真には
男性が次の日に撮影した写真には、柱が折れ曲がり、建物が壊れている様子が映っています。建物のエントランス部分とみられるところが完全に壊れていることが分かります。

この空爆で亡くなったのは、十数人。男性と一緒に避難していた親族の男性は、がれきの中から10時間後に助け出されたものの亡くなり、親族の女性も背骨や腰の骨などを折る重傷を負いました。今も病院で手当てを受けています。

この空爆で亡くなった人の多くが女性と子どもだったと言います。

ガザ地区の男性
「亡くなった親族は医師でした。爆撃にあった建物にいて助け出せずに、見つかった時には亡くなっていました。まだ信じられない思いです。とても悲しい日でした。あらゆるところが標的にされていて、私の人生の中で最も怖い体験でした」

“ガザの町はゴーストタウンに”
男性は今も北部に滞在しています。

常に空爆の音が聞こえ、身の危険を感じると言います。

「ガザの町はゴーストタウンです。すべて破壊されていて、ゾンビ映画のような世界でとても怖いです。もうどれくらいたったか、いまが何日か、何曜日かそういう感覚をすべて失っています」

南部に避難しない理由は
南部への避難呼びかけるチラシ(10月13日撮影)
10月23日、男性のもとに南部に避難するよう呼びかける新たな情報が届きました。

男性が見たチラシには「ガザ地区の北部から南部に避難しない者はテロ組織の仲間と見なす可能性がある」という内容が書かれていたといいます。

それでも南部には避難できない理由があると話しました。

「南部に避難しろという警告は知っています。しかし南部にも空爆があり、安全が確保されていないんです。どこが安全なのか情報が無く、居場所もなく、どこを頼ったらいいか分かりません。実際のところ行けないんです」

北部への物資は
現在、ラファの検問所から少しずつ物資が入っている状況ですが、男性はこの物資は南に避難している人たちへの物資で、北側に残る人たちは対象にならないと言います。

その上で、物資がいつ足りなくなってもおかしくないと言います。

「教会の中で物資を貯蔵していた建物が空爆でやられてしまって、そこに置いていた水や食料が失われてしまった状況です。まだしばらくはなんとか大丈夫ですが、食料集めなどにみんなで協力して奔走しています」

世界へ 日本へ 伝えたいこと
男性は「教会に逃げているのは、キリスト教のコミュニティーで平和を信じる人々です。テロや人を傷つけるようなことと関係がない人たちです。このメッセージが世界の人たちに伝わることを願います」と話していました。

その上で停戦の実現に向けて、日本の人たちにも力を貸してほしいと訴えました。

「まだ私たちは悪夢の中にいて、今も爆撃にさらされています。攻撃が終わることを願っています。もうたくさんです。平和な場所に住みたいのです。日本のすべての方に、私たちのために祈ってほしいと思っています。停戦が実現するように祈ってほしいです。多くの市民、関係のない人も巻き込まれているこの状況を止めることに力を貸してほしいです」

(取材 おはよう日本 / 和田雄三ディレクター、馬宇翔ディレクター、今村清人記者、福岡由梨記者)

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