東京, 9月22日 /AJMEDIA/
自民党総裁選(27日投開票)で「選択的夫婦別姓」制度導入の是非を巡る議論が活発になっている。経済界などが導入を求める一方、党内の保守層には慎重論が依然根強い。各候補は自らの支持基盤を念頭に賛否両論を繰り広げて対立。意見集約の困難さが改めて浮き彫りとなった。
「私は(旧姓併記の)パスポートだったが、何の不自由もなかった」。総裁選候補が一堂に会した19日のインターネット番組。高市早苗経済安全保障担当相(63)は選択的別姓の導入に重ねて慎重な立場を示した。
高市氏は旧姓の通称使用を拡大する法案を国会に提出する考え。小林鷹之前経済安保担当相(49)も「旧姓の通称使用を加速していけばいい」と同調する。両氏とも保守層が支持基盤。陣営には選択的別姓に否定的だった安倍晋三元首相が率いた安倍派議員を多く抱える。
安倍氏の路線継承を掲げる加藤勝信元官房長官(68)は、旧姓を法律上の姓として認める「旧姓続称制度」も「あり得る」と述べた。
これに対し、2021年の前回総裁選で「小石河」連合と呼ばれた小泉進次郎元環境相(43)、石破茂元幹事長(67)、河野太郎デジタル相(61)は推進派だ。世論調査で賛成が反対を上回る結果が相次いでいることを意識しているとみられる。
小泉氏は「人生の選択肢を増やす」と強調。小泉、河野両氏は選択的別姓法案の国会採決では党議拘束をかけないことも提案した。石破氏は「選択的別姓を採らない限り、(別姓を望む人は)事実婚になる」と指摘するが、党議拘束を外すことには否定的だ。
林芳正官房長官(63)は容認、上川陽子外相(71)は賛成との見解を示すが、あくまで個人の考えだとして国民的な合意形成や議論の深まりを重視。茂木敏充幹事長(68)は世論、国会、司法の動向を踏まえて検討を進める考えだ。
党は総裁選後、選択的別姓を巡る議論を仕切り直すことになるが、意見集約は難航必至。新総裁の指導力が試されそうだ。