東京, 2月4日, /AJMEDIA/
重い病気なのに原因が特定できなかった赤ちゃん85人を対象に慶応大学などのグループが遺伝情報を詳しく解析したところ、半数近くで病気の原因を特定できたと発表しました。
この研究は、慶応大学医学部の武内俊樹専任講師を中心とする全国の新生児科の医師や遺伝学の研究者らのグループが行いました。
グループによりますと、原因不明の病気で新生児集中治療室に入院するなどしている赤ちゃん85人を対象に遺伝情報を調べるゲノム解析を行ったところ、41人で遺伝子の異常が原因であることを突き止めたということです。
多くが従来の検査では診断が難しい数万人から数十万人に1人という極めてまれな病気で、このうち20人は治療ができるようになったり、体の負担となる検査を行わずにすんだりしたということです。
原因が特定できた1人で、生まれたときから呼吸が止まるなどの命に関わる症状があった女の赤ちゃんは、ゲノム解析によって遺伝子の異常のため栄養がうまく作れない病気「ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症」と診断されました。
原因が特定されるまでは治療法も不明でしたが、現在は特殊なミルクを使うことで症状が改善したということです。
この赤ちゃんの母親は「病名が分からないときは先が見えない心境だった。今は子どもの症状も落ち着いてきつそうな様子がなく、よかったと感じている」と話していました。
武内専任講師は「ゲノム解析の技術を全国の赤ちゃんに届けられるよう、医療機関のネットワークを作っていきたい」と話しています。