東京, 8月22日, /AJMEDIA/
中古車価格の高止まりなどを背景に、自動車盗が増加している。盗まれた車は、エンジンルームなどに刻印された車両識別の「車台番号」が付け替えられて国内で転売されるほか、解体して海外にも不正輸出されているという。
SNSで車盗難の手口拡散 事故多発、集団訴訟に発展―米
愛知県警は昨年7月、車台番号を付け替え、車検を通したとして、自動車販売業の男ら2人を詐欺容疑などで逮捕した。2人とも不起訴処分となったが、事故で大破し登録が一時抹消された車の車台番号を切り取り、同じ車種の盗難車に付け替えていた。盗難車は一時抹消された車として登録を受け、車検付きで転売されていたという。
県警は今年7月にも同様の事件に関わった疑いでトルコ国籍の男を逮捕しており、中古市場に流通している盗難車は少なくないとみている。
警察庁によると、全国の自動車盗の認知件数は、2003年の6万4223件をピークに減少傾向にあったが、22年は前年比552件増の5734件と9年ぶりに増加に転じ、自動車産業が集積する愛知県が884件と最多だった。23年は1~6月で2948件(暫定値)に達しており、前年を上回るペースだ。
一方、23年の摘発件数は6月末時点で992件(同)と、認知件数に占める割合は33.6%にとどまる。盗まれた車の多くが持ち主に戻ってこないのが現状だ。
愛知県警幹部らによると、盗難車の多くは高い塀などに囲まれた「ヤード」と呼ばれる作業場に持ち込まれ、解体されているとみられる。部品として転売されたり、海外に不正輸出され現地で組み立て直して売られたりすることもあるという。
県内で自動車解体業を営む70代の男性は、車台番号の付け替えについて「溶接の跡が分からないよう巧妙に加工されれば、プロでも気付かない可能性がある」と指摘する。個人間の売買には特に注意が必要といい、「相場より明らかに安い中古車には気を付けた方がいい」と語る。
県警幹部は「まずは車を盗まれないことが重要。盗難防止装置のイモビライザーやハンドルロックなどの取り付けが有効だ」と話している。