東京, 8月31日 /AJMEDIA/
自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)が迫る中、同党が絡んだ「政治とカネ」を巡る事件が相次いでいる。当事者は自民を離党して議員辞職したものの、詳しい説明は行わずじまい。自民も組織として対策に乗り出す姿勢は見えない。派閥裏金事件の還流分が違法行為に充てられた疑惑も浮上しており、総裁選で裏金事件の真相究明などに向けた姿勢が改めて問われるのは必至だ。
「一人ひとりの政治家が適正に対応すべきものと考える」。林芳正官房長官は30日の記者会見で、広瀬めぐみ前参院議員(自民離党)の事件について問われ、こう述べるにとどめた。
裏金事件の記憶も生々しい中、東京地検特捜部は30日、秘書給与を国からだまし取ったとして広瀬氏を詐欺罪で在宅起訴。29日には有権者に香典を配ったとして堀井学前衆院議員(自民離党)を公職選挙法違反罪などで略式起訴した。
いずれも過去に類似の事件が問題化しており、なぜ違法行為に手を染めたのかなどの疑問は残されたままだ。堀井氏は議員辞職に当たり「深くおわびする」とのコメントを発表。広瀬氏も30日に同様の文書を出したが、詳しい説明は尽くしていない。自民幹部も「もう離党した人だから」と述べるなど当事者意識はうかがえない。
もっとも、堀井氏の事件では裏金事件への自民の対応に改めて疑義が浮上している。党の聞き取り調査に関する報告書は、裏金を違法な使途に充てたと答えた議員は「1人もいなかった」と説明。しかし、堀井氏は香典代に裏金を使った疑いが持たれており、政府関係者は自民調査について「お手盛りだったということ。再調査を求める声が高まるだろう」と指摘する。
冷や水を浴びせられた格好の「ポスト岸田」候補は対応に苦慮する。小泉進次郎元環境相は30日、東京都内で記者団に「総裁選を信頼回復のきっかけにできるようにしたい」と述べ、来月6日の記者会見で具体策を説明する考えを示した。
石破茂元幹事長は記者団に「国民と政治家の感覚に相当のずれがある。これを直していかないと、信頼回復はない」と語った。
一方、立憲民主党代表選(9月7日告示、23日投開票)の候補者は自民への批判を強める。野田佳彦元首相は30日、記者団に「疑惑がどんどん自民の中から出てくる。どぶさらいを政権交代でやっていきたい」と強調。泉健太代表は記者会見で「中身のない政治改革案を通した人たちによる総裁選だ。本気でやるつもりなのかが問われる」と指摘した。