東京, 9月4日, /AJMEDIA/
【ニューヨーク時事】米企業の間で、大幅な賃上げを認める動きが相次いでいる。物流大手UPSは今夏、パートタイム従業員の時給を今後5年間で5割弱引き上げることに合意。航空各社も今年、パイロットを対象に4年間で4割前後の賃上げを承認した。いずれも深刻な物価高に配慮したとみられ、さまざまな業界に広がっている。
8月の米雇用、18万7000人増 失業率3.8%に上昇
「歴史的な合意内容だ」。UPSのトラック運転手らが加盟する労働組合は8月下旬、成果に胸を張った。新たな労使協定では、正社員とパートの時給がいずれも5年間で7.5ドル(約1100円)上昇。さらにパートの時給は下限が従来の15.5ドルから21ドルに引き上げられ、5年間の賃上げ率は平均で48%となった。
米国では昨年6月、消費者物価指数(CPI)が前年同月比9.1%上昇。約40年ぶりの高インフレとなった。これをピークに最近は3%台まで鈍化したが、米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%を依然上回っている。
米メディアによると、アメリカン航空のパイロットは今夏、4年間で46%を超える給与増を確保。ユナイテッド航空とデルタ航空のパイロットも今年、3~4割程度の引き上げを勝ち取った。自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターの従業員が加盟する全米自動車労組(UAW)は現在、4割以上の賃上げを掲げて会社側と交渉中。ハリウッドでは脚本家や俳優によるストライキが続く。
給与増は労働者にとって喜ばしい半面、サービスや商品の価格に跳ね返るリスクも懸念されている。米テレビに出演した金融市場関係者は、相次ぐ賃上げは「FRBが望んでいるものではない」と指摘した。