東京, 9月10日, /AJMEDIA/
【ワシントン時事】米中のハイテク分野の覇権争いが激化する中、米政府が中国製半導体の高度化に警戒感を強めている。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が最近発売した新型スマートフォンに高性能半導体が搭載されていることが判明。中国の開発力向上で、対中半導体輸出規制の効果が薄れる恐れがあるためだ。
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米政府は「より多くの情報を得る必要がある」(サリバン大統領補佐官)として、調査を開始。米議会では、規制逃れへの懸念や一段の規制強化を求める声が出ている。
このスマホは「Mate60プロ」。カナダ調査会社テックインサイツによると、中国半導体受託製造大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が製造したチップ「麒麟(きりん)9000s」を搭載。回路線幅は7ナノメートル(ナノは10億分の1)で、高速大容量規格「5G」に対応しているという。
アップルの最新スマホ「iPhone(アイフォーン)14プロ」に使用されている4ナノメートルのチップに比べ、5年程度遅れた水準ではあるものの、半導体関連輸出規制などにより、中国では5G対応のスマホ製造は難しいとみられていた。
中国国営メディアは「米国による輸出規制後、初めてとなるファーウェイの高性能チップだ」と独自開発を強調した。テックインサイツのハッチソン副会長は「中国の技術開発の回復力を示している」と指摘する。
米政権は、民間技術を軍事転用する中国の「軍民融合」を警戒し、ハイテク分野の対中規制を強めてきた。ファーウェイやSMICを安全保障上のリスクが高い企業に認定。昨秋には輸出規制を強化した。
米議会では、ファーウェイの新型スマホは「米国の技術なしには製造できない可能性が高い」(ギャラガー共和党下院議員)と規制逃れを疑う声が上がる。ロイター通信によると、共和党のマコール下院外交委員長は、新たな輸出規制強化の必要性に言及した。
ハッチソン氏は、中国の半導体開発力の向上は「地政学上の大きな課題だ。さらなる規制強化につながる可能性がある」と話している。