東京, 3月9日, /AJMEDIA/
バイデン米大統領は8日、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの追加経済制裁として、ロシア産の原油や液化天然ガス(LNG)、石炭などの輸入を禁止する大統領令に署名し、即日発効した。英国をはじめとする同盟・パートナー国と共に、資源大国ロシアのエネルギー産業に最大級の圧力を加え、プーチン政権の弱体化を図ると表明した。
ロシアは米国、サウジアラビアに並ぶ産油国で、世界の生産量の約1割を占める。バイデン氏は「プーチン(ロシア大統領)の戦争マシンに強力な打撃を与える」と強調。ロシアの主要な外貨獲得手段であるエネルギー産業を標的にすれば「プーチンに勝利はない」とけん制した。
主要国がロシア産資源の全面禁輸に踏み切るのは初めて。大統領令は(1)ロシア産の原油、石油製品、LNG、石炭などの米国への輸入禁止(2)米国勢によるロシアのエネルギー分野への新規投資禁止(3)ロシアのエネルギー分野に投資する外国企業への融資禁止―などが柱となる。既に成立した輸入契約には45日間の猶予期間を設ける。
気候変動問題を優先課題に掲げるバイデン政権は「脱炭素」を推進しているが、ウクライナ危機対応として原油など化石燃料の国内生産拡大を容認する方向へかじを切る。バイデン氏は「プーチンが起こした戦争は米国民を痛めつけている」と訴え、ロシアからの資源供給減少が一段のガソリン価格高騰につながる恐れがあると説明した。
英政府も8日、今年末にかけて段階的にロシア産原油や石油製品の輸入を停止すると発表し、対ロ制裁強化で協調を呼び掛けていた米国に歩調を合わせた。カナダは禁輸を実施する方針を先月発表済み。