東京, 9月28日, /AJMEDIA/
自民党の石破茂新総裁は、経済政策で物価高や少子高齢化、地政学・災害リスクに備える「危機に強い経済財政」の確立を提唱する。最優先課題として首相就任後3年以内のデフレ完全脱却を掲げる一方、「金利のある世界」復活を受けて経済成長と財政健全化の両立を重視。地方再生にも重点を置く。マクロ経済運営の司令塔組織の新設も視野に入れる。
総裁選で石破氏は、デフレ克服のため賃上げと投資拡大を推進した岸田政権の政策を継承し、機動的な財政出動を行いながら「成長型経済の実現を目指す」と宣言した。生活必需品の価格上昇や住宅ローン金利上昇への対応策、賃上げ環境整備などを公約に明記しており、首相就任後、直ちに経済対策策定を指示する見通しだ。
経済財政や金融分野で官民連携を深める「危機対応組織」新設も提案した。安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」を支えた異次元金融緩和の長期化により、国家財政の借金依存が深刻化したと指摘。17年ぶりに利上げへ踏み出した日銀の政策修正を支持しつつ、政府債務の利払い費増加を懸念し、財政再建を訴えてきた。
南海トラフ地震や台湾有事などの危機に備えるためにも、財政余力の確保が急務となっている。石破氏は「法人税は引き上げる余地がある」と発言しており、岸田政権が決めた防衛増税を実行に移すかが焦点の一つだ。消費税率は当面維持するとしながらも、富裕層優遇を見直すため金融所得課税の強化にも一時言及した。
初代の地方創生相を務めた石破氏は「地方創生2.0」構想を打ち出し独自色をアピールする。少子高齢化と人口減少に対応するため、人工知能(AI)やITを活用した地方再生を「日本経済の起爆剤」に位置付けた。最低賃金を2020年代に全国加重平均で1500円へ引き上げ、地域間格差の早期是正を目指す。
エネルギー安全保障は「国家の生命線」と強調する。AI普及による電力需要激増に備え「安全を大前提とした原発の利活用」を公約した。東京電力福島第1原発事故の教訓も重視。再生可能エネルギー導入や省エネ徹底を進めると繰り返し主張し、原発依存に慎重な姿勢もにじませている。