知床事故は「人災」 意見聴取会で遺族公述―学者から再発防止策・運輸安全委

東京, 7月27日, /AJMEDIA/

北海道・知床半島沖で昨年4月、26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、運輸安全委員会は26日、事故原因などを特定する最終報告書の作成に向け、学者や遺族らに参考意見を求める「意見聴取会」を東京都内で開いた。計5人が公述し、遺族が「事故は人災だ」などと訴えた。
沈没2日前、ハッチに隙間か 浸水との関連分析へ―知床観光船事故・運輸安全委

 意見聴取会は、航空、鉄道事故で過去8回開かれたことがあるが、船舶事故では初めて。同日午前10時から東京・四谷のビルの会議室で開催され、5人のうち3人が公開で公述し、2人は非公開だった。運輸安全委は同日午後、非公開の2人の公述内容を公表した。
 非公開だった遺族は「人が止めることができた事故であり、人災である」と発言。悪天候が予想される中、経験の浅い船長が出航した経緯や運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の労働環境のさらなる調査を訴えた。
 公開で公述に臨んだ中尾政之・東大大学院教授は、事故原因には船長らが同業他社の警告を聞かずに出航した「組織的原因」と水密隔壁の不備などの「技術的原因」があったと分析。矢吹英雄・東京海洋大名誉教授は、再発防止策として小型旅客船の船長の資格要件を厳格化することなどを提唱した。
 聴取会ではほかに、船舶事故に詳しい田川俊一弁護士と学識経験者1人が公述した。
 運輸安全委は昨年12月に調査経過報告書で、船前方のハッチなどから浸水し、沈没した可能性を指摘。今後は聴取会で出た意見を踏まえ、最終報告書の作成を進める。

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