東京, 1月30日, /AJMEDIA/
NASA=アメリカ航空宇宙局などの研究チームが、地球と火星の間にある小惑星から採取したサンプルを分析した結果、たんぱく質やDNAをつくるのに必要な有機物が含まれていたことがわかりました。研究チームは、生命の出現に必要な条件が初期の太陽系に広く存在していた可能性があるとしています。
NASAなどの研究チームは、探査機の「オシリス・レックス」で地球と火星の間の軌道を回る小惑星「ベンヌ」から砂などのサンプルを採取し、おととし地球に戻ってきたサンプルの詳しい分析を進めていて、29日、その結果を公表しました。
それによりますと、サンプルには生物を形づくっているたんぱく質の材料になるアミノ酸が14種類含まれていたほか、生命の設計図として機能するDNAやRNAに使われている5種類の「核酸塩基」と呼ばれる物質、すべてが含まれていたということです。
さらにサンプルからはかつて水が存在し、長い時間をかけて蒸発していったことを示す痕跡も見つかったということです。
分析したサンプルは、地球に生命が誕生する以前の太陽系に、どのような物質が存在していたかを知る手がかりになるということで、NASAは「生命の出現に必要な条件が初期の太陽系に広く分布していた可能性がある」としてさらに研究を進めることにしています。
分析に参加した日本の研究者グループ“期待以上の結果うれしい”
NASA=アメリカ航空宇宙局などの研究チームが、小惑星「ベンヌ」から採取したサンプルの分析結果を公表したことを受けて、このチームに参加している日本の研究者のグループが30日オンラインで会見を開きました。
北海道大学や海洋研究開発機構などのグループは、「ベンヌ」のサンプルから、生命の設計図となるDNAやRNAを構成する「核酸塩基」を5種類検出することに成功しました。
北海道大学の大場康弘准教授は、「太陽系の小惑星では、地球上の生命と関係する物質が普遍的に存在する可能性を示す結果だ。分析当初は不安もあったが、期待以上の結果が出て非常にうれしい」と話していました。
日本のグループでは、NASAから配分されたおよそ18ミリグラムのサンプルを使って今回の分析を行いましたが、その後、およそ700ミリグラムが追加配分され、今後さらに分析を続けるということです。
大場准教授は今後の分析について、「これまで少量で検出できなかった物質も、サンプル量が増えることで検出できる可能性がでてくる。地球外物質からは見つかっていない物質や、未知の物質の検出にチャレンジしたい」と抱負を述べていました。