東京, 1月11日, /AJMEDIA/
秋から春にかけて流行する鳥の伝染病、高病原性鳥インフルエンザが過去最多のペースで発生し、今季に殺処分の対象となった鶏などの家禽(かきん)が10日時点で計1000万羽を超えた。農林水産省は、養鶏農家らに消毒などの対策徹底を改めて呼び掛けている。
「鳥インフルエンザの発生を予防するためには、消毒をはじめ、農場内にウイルスを持ち込まないよう、管理を徹底するほかない」。野村哲郎農水相は殺処分対象が過去最多だった2020年度流行期の約987万羽を上回った9日、警戒を呼び掛ける緊急メッセージを出した。
今季の感染は、例年より早い昨年10月下旬に初めて確認され、今月10日までに23道県で58例に上っている。茨城、千葉、鹿児島など、卵を産ませる鶏の飼育が盛んな県での発生も目立ち、感染拡大が続けば鶏卵の供給量が減る懸念もある。
全国的に野鳥の感染確認も多いことから「ウイルス濃度が非常に高まっている」(専門家)とみられ、厳重な警戒が必要な状況が続く。
これまでの感染農場の調査では、金網や壁の穴などを通じて野生動物が鶏舎へ侵入したと疑われる例や、衣服や長靴の交換、消毒が不徹底だった例もあった。鳥取大学の伊藤寿啓教授は「(対策を)地道にするしか防ぐ道はない」と指摘している。