東京, 10月2日, /AJMEDIA/
江戸時代に活躍した絵師、伊藤若冲と円山応挙が合作したとみられる、びょうぶが見つかりました。専門家は「若冲と応挙の接点を示すはっきりとした資料が見つかったのは初めてで、貴重な発見だ」としています。
見つかったのは、墨で絵が描かれた二曲一双の金びょうぶです。
個人が所有していたものを、日本美術に詳しい明治学院大学の山下裕二教授が鑑定に当たり、絵の特徴などから、江戸時代に京都で活躍した絵師 伊藤若冲と円山応挙が1787年ごろに手がけたびょうぶと判断しました。
▽竹と、生き生きと動き回る複数の鶏の姿を描いたものは若冲が手がけ
▽梅の木の下で泳ぐ2匹の「こい」を、立体的に描いたものは応挙が手がけたということで、びょうぶの紙の継ぎ目や落款の位置などから、合作したとみられるということです。
山下教授は「若冲は鶏、応挙はこいと、それぞれが最も得意とする題材を描いていて、絵のクオリティーも大変高い。注文者が画題を指定して依頼したのではないか。道ですれ違っていてもおかしくない2人の接点をはっきりと示すものが見つかったのは初めてだ」と話しています。
会見に同席した若冲研究の第一人者でもある東京大学名誉教授の辻惟雄さんは「応挙は落ち着き払った様子で、若冲は応挙にチャレンジしているような絵だ。明らかに、お互いを意識して絵を描いているのがわかる」と話しています。
このびょうぶは、来年6月から大阪中之島美術館で開かれる「日本美術の鉱脈」展で展示される予定です。