東京, 02月18 /AJMEDIA/
東日本大震災で亡くなった高校生について、教員だった男性が学校などに聞き取りをした結果をまとめ、17日、仙台市で報告会が開かれました。宮城県では4割の生徒が自宅で亡くなっていたことを教訓に、学校以外の場所にいた際に地震や津波から避難する方法を学校や家庭で話し合ってほしいと訴えました。
宮城県教職員組合などは東日本大震災の教訓について考える集いを毎年開いていて、仙台市の会場には教員などおよそ40名が集まりました。
この中で、元教員でみやぎ教育文化研究センターの高橋達郎所長が、2020年から独自に行った高校や教員への聞き取り調査をもとに、東日本大震災で宮城県で犠牲になった公立高校の生徒87人の状況を報告しました。
これまで高校生の被害の詳細については分かっておらず、被災した状況で最も多かったのは「自宅」が36人と全体の4割余りを占め、次いで「避難途中」が27人、「アルバイト中」が5人、状況が分からなかった生徒が19人でした。
「自宅」にいた生徒の中には、祖父母の避難を手伝おうとしたり、家族の帰りを待っていたりして犠牲となっていて、高橋さんは生徒一人一人の亡くなった状況を読み上げました。
多くの生徒が学校以外の場所で被害にあっていたことから、学校と家族や地域が連携して避難の方法などを日頃から話し合ってほしいと訴えました。
高橋さんはこのほか、宮城県では内陸の高校で沿岸から通っていた生徒が津波の犠牲になっていたこともわかり、学校のある場所だけでなく通学路で起こる災害も認識する必要があると指摘しました。
参加した小学校の教員の男性は「児童たちにもきょうの話を伝えて、将来、高校生になったときに教訓をいかしてほしい」と話していました。
高橋所長は「将来の夢や希望を持った生徒たちが犠牲になったことを改めて感じた。先生たちには数字だけでは伝わらない亡くなった生徒それぞれの記録を知ってもらい、二度と同じことが起こらないよう防災教育にいかしてほしい」と話しています。
高橋所長は今後、犠牲になった生徒の記録を県内の高校に配布したいとしていて、状況がわかっていない生徒の調査も引き続き行うことにしています。