最大補正、基金の透明性課題 岸田首相は単年度予算「弊害是正」

東京, 12月21日, /AJMEDIA/

 一般会計総額が35兆9895億円と過去最大の2021年度補正予算が20日、成立した。岸田文雄首相は、国の予算を年度内に使い切る単年度主義の「弊害是正」を掲げており、補正には複数年度にわたって運営する基金の創設を盛り込んだ。しかし、基金は無駄の温床になりやすく、実効性を確保するためには透明性の向上が欠かせない。
 単年度主義は、内閣が毎年度予算を編成し、国会の議決を経る原則を指す。予算に対する国会のチェック機能が強まる一方、財政運営が硬直化し、中長期的な視点で政策を推進しにくくなるとの指摘もある。首相は「国家課題に計画的に取り組む」として、かねて単年度主義の見直しに意欲を示してきた。
 補正のうち、11月に決定した経済対策の関連経費が31兆5627億円を占める。運用益を大学の研究支援に充てるファンドに6111億円を計上。先端半導体の生産基盤整備に向けた基金創設にも6170億円を充てた。新型コロナウイルス感染の収束後を見据え、科学技術振興や経済安全保障の強化を通じ、成長につなげる考えだ。
 ただ、基金のために緊急に歳出を追加する必要性は乏しい。さらに、基金は財政当局による使途や効果の監視がおろそかになりやすい。基金を立ち上げても執行が進まないケースもあり、臨時国会では野党から「経済対策として十分に効果があるのか」と批判を浴びた。本来の狙いを実現するためには、事業の進捗(しんちょく)状況などを点検・評価する仕組みの構築が求められそうだ。

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